Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
循環器:弁膜症

(S378)

パーキンソン病におけるドーパミンアゴニストと弁膜症について

Valvular disease with dopamin agonist in Parkinson’s disease

藤原 理佐子1, 小野 幸彦1, 鬼平 聡2, 伊藤 宏3

Risako FUJIWARA1, Yukihiko ONO1, Satoshi KIBIRA2, Hiroshi ITOH3

1地方独立行政法人秋田県立病院機構秋田県立脳血管研究センター循環器内科, 2きびら内科クリニック循環器内科, 3秋田大学大学院医学系研究科医学専攻, 機能展開医学系循環器内科学・呼吸器内科学循環器内科

1Cardiovascular Medicine, Independent Administrative Institution Akita Prefectural Hospital Organization Reseach Institute for Brain and Blood Vessels-Akita, 2Cardiovascular Medicine, Kibira Medical Clinic, 3Cardiovascular Medicine, Department of Cardiovascular and Respiratory Medicine Akita University Graduate School of Medicine

キーワード :

【目的】
パーキンソン病の治療薬であるドーパミンアゴニスト(DA)は副作用として弁膜症が出現すると言われている.そこで,当院で内服治療されている症例の弁膜症に関して検討した.
【方法】
パーキンソン病で内服治療中の39症例において17ヶ月にわたり検討した.半年から1年に1回経胸壁心エコーを実施,弁逆流の程度をSeller’s 分類等を用いて評価し,また弁の性状の変化を確認した.
【結果】
内服量は全例で通常量であった.14例でDA,17例で他剤による治療をし,8例で症状等からDAから他剤へ変更した.DAによる治療例をD群,他剤治療例をN群,変更例をC群とした.39症例のうち15例(38/5%)で弁膜症の悪化があり,D群に4例(28.6%),N群に8例(41.2%) ,C群に3例(37.5%) 存在した.D群では僧房弁逆流(MR)が軽度からIへ,大動脈弁逆流(AR)がIからIIへ変化した.N群ではMRが軽度からI又はIIへ,ARがIからIIへ変化した.C群ではMR,ARとも軽度からIへ,IIからIIIへ,また三尖弁逆流がIからIIへ変化した.弁の性状変化では,弁と腱策の石灰化が最も多く見られた.3つのグループの中で弁膜症の優位な増加は見られなかった(p<0.05).
【結論】
今回,パーキンソン病に対する通常量でのドーパミンアゴニスト治療では,優位で重症な弁膜症の副作用は出現しなかったが,経時的な変化をきたす可能性はあり,長期的な心エコーによる弁膜症の経過観察が必要であると考えられた.