高島 弘光¹, 山田 博胤^{1, 2}, 楠瀬 賢也², 西尾 進¹, 冨田 紀子², 三村 千尋¹, 佐藤 光代¹, 添木 武², 赤池 雅史², 佐田 政隆^{1, 2}

Hiromitsu TAKASHIMA¹, Hirotsugu YAMADA^{1, 2}, Kenya KUSUNOSE², Susumu NISHIO¹, Noriko TOMITA², Chihiro MIMURA¹, Mitsuyo SATO¹, Takeshi SOEKI², Masashi AKAIKE², Masataka SATA^{1, 2}

¹徳島大学病院超音波センター, ²徳島大学病院循環器内科

¹Ultrasound Examination Center, Tokushima University Hospital, ²Cardiovascular Medicine, Tokushima University Hospital

キーワード :

【背景】
大動脈弁硬化（AVS）および頸動脈内膜中膜複合体厚（IMT）は，いずれも比較的早期に動脈硬化を検出できる指標として知られている．しかしながら，それら指標の相互関連についての検討は少ない．我々は，無症候性AVS患者における頚動脈エコー所見について，AVSの重症度別に検討を行った．
【方法】
心エコー検査で大動脈弁に動脈硬化性変化を認め大動脈弁口通過血流ピーク速度（v）が1.5〜2.5 m/sであったAVS 82例と，年齢を整合させた非AVS20例を対象として，頸動脈エコー検査を施行した．AVSは，軽症： 1.5≦v＜1.8 m/s，中等症：1.8≦v＜2.1 m/s，重症：2.1≦v＜2.5 m/sに分類した．頚動脈エコー検査では，平均IMT（meanIMT），最大IMT （maxIMT），プラーク数（PS），総頚動脈径（CCd）を計測して左右の平均値を算出し，ANOVAによりAVS重症度別の比較を行った．
【結果】
各群の年齢は，軽症群と中等症群に有意差を認めたものの他の群間では有意差はなかった．高血圧，糖尿病，脂質異常症の既往，喫煙歴についても4群間に差を認めなかった．また，meanIMT，maxIMT，PSは4群間に有意差を認めなかったが，CCdはいずれの群間にも有意差がみられた．
【結語】
無症候性のAVSにおいては，その重症度とIMTには相関を認めなかったが，AVSが重症になるに従ってCCdが拡大していた．CCdはIMTやPSと比べてAVSの重症度を反映し，動脈硬化の簡便な指標となる可能性があると考えられた．