Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
循環器:心機能2

(S368)

血中シスタチンC,エンドセリン値は高血圧患者における左室拡張能を反映する

Plasma Cystatin C and Endothelin levels Are Related to Left Ventricular Diastolic Function in Patients with Hypertension

中村 政彦, 鈴木 浩二, 高橋 宗一郎, 梅谷 健, 瀬戸 俊邦, 相沢 一徳

Masahiko NAKAMURA, Koji SUZUKI, Souichirou TAKAHASHI, Ken UMETANI, Toshikuni SETO, Kazunori AIZAWA

山梨県立中央病院内科

Department of Internal Medicine, Yamanashi Prefectural Central Hospital

キーワード :

【背景】
血中BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)は拡張不全に関係して,左室拡張機能と相関するという報告が多い.血中のシスタチンCは早期の腎機能障害を反映する腎機能指標とされているが,近年,心不全など種々の心血管危険因子と相関することが明らかになり,心機能関連指標として注目されている. 血中エンドセリンは,強力な血管収縮作用を有する血管内皮細胞由来のペプチドで,心臓において心臓の収縮力と収縮率に影響する一方,心肥大およびリモデリングを進展させることから,心機能関連指標となっている.シスタチンC, エンドセリンと高血圧における左室拡張機能との関係も注目されているが,報告は少ない.
【目的】
今回,高血圧患者における血中BNP,シスタチンC,エンドセリン値と心エコー法を用いた左室拡張機能評価の関連について検討した.
【方法】
対象は血中BNP,シスタチンC,エンドセリン値を測定し同時期に心エコー法を用いた左室拡張機能評価を施行し得た高血圧43例(平均年齢67±13歳)で,心房細動,中等度以上の弁膜症,血清クレアチニン値 2.3 mg/dl以上の腎不全例は除外した.血清シスタチンC値はラテックス凝集比濁法にて測定し,血漿エンドセリン値はRIA2抗体法にて測定した.心エコー図パルスドプラ法で左室急速流入波(E)と心房収縮波(A)の比(E/A),Eの減衰時間(DT),組織ドプラ法で拡張早期僧帽弁輪速度(e’)を計測してE/e’を求めた.各血中マーカーと拡張能指標について相関を検討した.
【結果】
各血中マーカーとE/A,DTは有意な相関は示さなかった.BNP値とE/e’は,Y = 5.8 + 0.02 X,r = 0.47,p < 0.01,シスタチンC値とE/e’は,Y = 4.4 + 2.2 X,r = 0.39,p < 0.05,エンドセリン値とE/e’は, Y = 3.6 + 2.4 X,r = 0.48,p < 0.01とそれぞれ有意な相関を認めた.シスタチンCとBNPは有意な正相関を認めた(r = 0.49,p < 0.001)が,エンドセリンとBNPは有意な相関を認めなかった( r = 0.26,p = 0.1).
【結語】
各拡張機能指標を用いた検討では血中シスタチンC,エンドセリンともに E/e’と相関し,BNPと同様に左室拡張能を反映し,高血圧症例の拡張機能評価にも適応できる可能性が示唆された.シスタチンCはBNPと類似した心機能関連指標となる可能性も考えられた.