Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
循環器:症例2

(S363)

ペースメーカーチェック時の定期検査で偶然発見された左室憩室の一例

A case of left ventricular diverticula discovered accidentally

東福 勝徳, 網屋 俊, 福岡 嘉弘, 早川 裕, 塗木 徳人, 坪内 博仁

Katsunori TOFUKU, Syun AMIYA, Yoshihiro FUKUOKA, Yu HAYAKAWA, Norihito NURUKI, Hirohito TSUBOUTI

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科健康科学専攻人間環境学講座消化器疾患・生活習慣病学

Department of Digestive and life-style Related Disease, Kagoshima University Graduate School of Medical and Dental Sciences

キーワード :

症例は82才女性.1990年頃に徐脈による失神発作を繰り返し,ペースメーカー植え込み術を施行されている.以後2004年より近医にて高血圧,高脂血症,糖尿病などでも内服治療されている.2007年9月のペースメーカーチェック時に経胸壁心臓エコーにて心室中隔に右室方向に突出する瘤(6×13mm 頸部4mm)を認めたため,当院へ精査入院となる.虚血性心疾患の有無を評価する目的で心臓カテーテル検査施行.冠動脈造影では有意狭窄を認めなかった.左室造影では心室中隔,心尖部の2箇所に瘤状の所見及び,同部位に壁の収縮を認めた.原因検索としてサルコイドーシスなども検討したが,各種検査(ACE,リゾチーム陰性,眼科検査,Gaシンチ)より否定的であった.以上より左室憩室が最も考えられた.以後経過観察しているが特に変化は認めない.左室憩室は比較的まれな心奇形であり,真性心室瘤,仮性心室瘤,心外膜下心室瘤などとの鑑別が必要となる.血栓症,破裂,心不全,不整脈などの合併が報告されているが,本症例では現在まで特に問題なく経過している.造影CT,経静脈超音波造影剤を用いた左室造影所見等も含めて報告する.