小倉 文子¹, 伊藤 隆英², 川西 泰徳², 二井 理恵², 寺崎 文生², 北浦 泰²

Fumiko OGURA¹, Takahide ITO², Yasunori KAWANISHI², Rie FUTAI², Fumio TERASAKI², Yasushi KITAURA²

¹大阪医科大学中央検査部, ²大阪医科大学内科学Ⅲ

¹Clinical Laboratory, Osaka Medical College, ²Third Department of Internal medicine, Osaka Medical College

キーワード :

【背景】
駆出後心筋収縮（postsystolic shortening: PSS）は心筋虚血に鋭敏な事象であると考えられている．しかしながらわれわれは最近，非虚血性心筋疾患においてもPSSが認められること，さらに内科的治療によりPSSが軽減することを報告した．今回の研究の目的は，非虚血性拡張型心筋症（DCM）に対するβ遮断薬療法の過程において，PSSが軽減するか否かについて，スペックルトラッキング法を基本としたAutomated Functional Imaging（AFI）を用いて検討することである．
【方法】
DCM患者11名（63±13歳）および健常者10名（56±11歳）を対象とした．使用機器はGE社製Vivid7である．左室心尖部長軸3断面を記録し，左室17セグメントにおけるpostsystolic index（PSI）をbull’s eye上に表示させた．健常者において170セグメント中95％のセグメントでPSI＜10％であったため（図1），PSI＜10％をPSSありと定義した．DCM患者では，β遮断薬（カルベジロール）による治療前および治療後2ヶ月において，PSSを有するセグメント数をカウントした．
【結果】
治療後，左室拡張末期径は低下し（67±8mmから64±13mm，P＜0.01），左室駆出率は上昇した（24±10％から30±11％，P＜0.01）．これに伴い，PSSを有するセグメント数は有意に減少した（11±3から8±3，P＝0.02）．図2に代表例を示す．
【結論】
β遮断薬療法によるDCM患者の心機能の改善には，PSSの減少が寄与していることが示唆された．
【文献】
［1］J Am Soc Echocardiogr 2007; 19: 987Am J Cardiol 2009; 104: 1568