宮口 克之¹, 水野 靖子², 平野 豊³, 河野 ふみえ³, 辻 裕美子³, 後藤 千鶴³, 橋本 三紀恵³, 中村 京子³, 那須 雅孝⁴, 松崎 正史⁵

Katsuyuki MIYAGUCHI¹, Yasuko MIZUNO², Yutaka HIRANO³, Fumie KOUNO³, Yumiko TSUJI³, Chizuru GOTO³, Mikie HASHIMOTO³, Kyouko NAKAMURA³, Masataka NASU⁴, Masashi MATUZAKI⁵

¹奈良友紘会病院臨床検査部, ²友紘会総合病院生理検査室, ³近畿大学医学部附属病院中央臨床検査部, ⁴三愛病院循環器内科, ⁵ソニックジャパン株式会社CEO

¹Department of Laboratory, Nara Yukokai Hospital, ²Physiolosical Laboratory, Yukoukai General Hospital, ³Department of Central Clinical Laboratory, Kinki University Hospital, ⁴Division of Cardiology, Sanai Hospital, ⁵CEO, Sonic Japan

キーワード :

【背景】
心エコ-図法による局所壁運動評価は，現在も半定量的なスコアリング法によって行われることが多いので，検者間で判定に差が生じることが，以前から指摘されている．半定量な壁運動評価法の習得には，熟練者に直接指導を受けるのが最も近道ではあるが，そのような体制をとれない施設もある．
【目的】
複数の検査者で，半定量的な局所左室壁運動評価がどの程度一致するか，また学習することにより評価の一致率が改善されるか否かを検討する．
【方法】
検査者は，日常の心臓超音波検査に従事する6名（A〜F）経験年数は，Aが4年，Bが7年，Cが8年，Dが10年，Eが7年，Fが15年．評価に用いた画像は，傍胸骨長軸断面，短軸断面，および心尖4腔像，心尖2腔像の4断面について1心周期の動画を，インタ-ネットを通じて，患者情報を知らない各検者に配信した．検者は別々に壁運動の評価を行い，熟練した超音波専門医の評価結果と比較した．壁運動評価は傍胸骨長軸断層像を4セグメント，傍胸骨短軸像，心尖4腔像，心尖2腔像を各6セグメントに分割して，それぞれNormokinesis，Mild Hypokinesis，Sever Hypokinesis，Akinesis，Dyskinesisの5段階スコアリングを行った．その後，1か月後に壁運動の評価法について超音波専門医とデイスカッションをした後，同画像の再評価を施行した．
【結果】
1．壁運動の評価は，全例評価可能であったが，24セグメントは画質不良のため評価対象から削除した．2．超音波専門医と各検者の一致率は，各検者それぞれAが54.5％，Bが68.8％，Cが77.5％，Dが77.0％，Eが79.6％，Fが80.0％であった．3.1か月後の再評価時の一致率は，各検者それぞれAが65.0％，Bが76.6％，Cが78.3％，Dが79.3％，Eが78.3％，Fが80.2％であった．結語：左室壁運動評価は，各検者の間で異なる可能性がある．壁運動評価習得には，熟練者との学習が必要である．