大沼 芳子¹, 松久 弘典², 芳村 直樹³, 渡辺 一洋¹, 廣野 恵一¹, 市田 蕗子¹, 宮脇 利男¹

Yoshiko OHNUMA¹, Hironori MATSUHISA², Naoki YOSHIMURA³, Kazuhiro WATANABE¹, Keiichi HIRONO¹, Fukiko ICHIDA¹, Toshio MIYAWAKI¹

¹富山大学小児科, ²兵庫県立こども病院心臓血管外科, ³富山大学第一外科

¹Pediatrics, Toyama University, ²Cardiovascular surgery, Hyogo Prefectural Kobe Children’s Hospital, ³The first surgery, Toyama University

キーワード :

【目的】
2D スペックルトラッキング法を用いてmultiple VSD （以下mVSD と略す）手術前後の局所壁運動の比較をする．mVSD手術前と正常乳児の局所壁運動の比較をする．
【対象】
mVSD7 例（年齢0〜 1 歳）， 合併心奇形は右室二腔症2 例，動脈管開存症1 例，両大血管右室起始症1 例，心房中隔欠損症1 例，ファロー四徴症1 例で心内修復術後31 日〜 119 日，平均84 ±29 日経過した症例．正常乳児11 例（ 年齢0〜 1 歳）．
【方法】
［mVSD 手術前vs 手術後］について比較した．［mVSD 手術前vs 正常乳児］について比較した．僧帽弁，乳頭筋，心尖部の3断面，全18 区域においてradial strain （ RS ）（ ％ ）とradial displacement をLVD dで補正した値（RD）（ ％）を求め，比較をした．使用機器はGE 社製ViVid7，7S およびM4S プローベを使用し，解析ソフトEcho Pack にてオフライン解析した．
【結果】
1．［mVSD 手術前vs 正常乳児群］ RS ；僧帽弁レベルの下壁が有意に低値を示した．心尖レベルの側壁，後壁，下壁，中隔が有意に低値を示していた（p＜0.05）． RD ；有意差はなかった．2．［mVSD術前 vs 術後］ RS; 僧帽弁レベルの前壁，乳頭筋レベルでは前壁中隔，前壁が有意に低値を示した（p＜0.05〜0.01）．RD；僧帽弁レベルの前壁中隔，前壁，中隔， 乳頭筋レベルでは前壁中隔，中隔で，心尖レベルの中隔が有意に低値を示した（p＜0.05〜0.01）．逆に，僧帽弁レベルの後壁，乳頭筋レベルの側壁，後壁が有意に高値を示した（p＜0.05）．
【結語】
mVSD術後の左室局所壁運動解析は，術前合併症や術式，心筋虚血など手術による影響を評価する上で，臨床的に有用な情報をもたらすことが示唆された．