Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
循環器:新手法1

(S356)

β遮断薬療法は拡張型心筋症の駆出後心筋収縮を軽減させる:3Dトラッキングによる検討

Effect of Beta-Blocker Therapy on Myocardial Postsystolic Shortening in Dilated Cardiomyopathy: Observation by 3D tracking

川西 泰徳, 伊藤 隆英, 二井 理恵, 寺崎 文生, 北浦 泰

Yasunori KAWANISHI, Takahide ITO, Rie FUTAI, Fumio TERASAKI, Yasushi KITAURA

大阪医科大学附属病院循環器科

Cardiovascular Medicine, Osaka Medical College

キーワード :

【背景】
駆出後心筋収縮(postsystolic shortening: PSS)は心筋虚血に鋭敏な事象であると考えられている.われわれは最近,非虚血性心筋疾患においてもPSSが認められること,さらに内科的治療によりPSSが軽減することを報告した.今回の研究の目的は,非虚血性拡張型心筋症(DCM)に対するβ遮断薬療法の過程において,PSSが軽減するか否かについて,3Dトラッキング法を用いて検討することである.
【方法】
DCM患者5名(63±13歳),健常者5名(35±4歳)を対象とした.使用機器は東芝社製Artidaである.まず,PSP-25SXプローベを用い,左室心尖部より左室の画像を取り込んだ.その後PSSモードとして左室の立体画像を表示した.Artidaに搭載されているソフトでは,拡張早期30%の時点でなおプローブの方向に移動する心筋セグメントがPSSとして赤色系に表示される.今回,この立体画像をbull’s eye状に展開させ,赤色系に表示される領域をDelayed Contraction Area Index: DCAI (%)として計測した.なお,健常者のDCAIは0%である(図1).DCM患者では,β遮断薬(カルベジロール)投与前後におけるPSSの重症度(広がり)の変化を評価した.
【結果】
治療後,左室拡張末期径は低下し(63±4mmから59±4mm),左室駆出率は上昇した(31±3%から38±5%).これに伴い,DCAIも減少した(40±2%から18±13%).図2に代表例を示す.
【結論】
β遮断薬療法によるDCM患者の心機能の改善には,PSSの減少が寄与していることが示唆された.しかしながら,3DトラッキングによるPSSの定義や評価法についてはさらに症例を重ね検討する必要がある.