中島 英樹¹, 瀬尾 由広², 渥美 安紀子², 山本 昌良², 針村 佳江², 町野 智子², 川村 龍², 榎本 真美², 石津 智子², 青沼 和隆²

Hideki NAKAJIMA¹, Yoshihiro SEO², Akiko ATSUMI², Masayoshi YAMAMOTO², Yoshie HARIMURA², Tomoko MACHINO², Ryo KAWAMURA², Mami ENOMOTO², Tomoko ISHIZU², Kazutaka AONUMA²

¹筑波大学附属病院検査部, ²筑波大学大学院人間総合科学研究科循環器内科

¹Tsukuba University Hospital, Tsukuba, Japan, Department of Clinical Laboratory, ²University of Tsukuba, Tsukuba, Japan, Cardiovascular Division, Graduate School of Comprehensive Human Sciences,

キーワード :

【目的】
左室容量および左室駆出分画（LVEF）の計測は種々の循環器疾患の管理において重要な指標であり，3D心エコ-法による左室容量計測はMRIと同等の高い信頼性が報告されている［1］．しかし，3D画像は心電図同期による複数心拍により構成されるため，心拍間の画像のぶれによるアーチファクト等により良好な3D画像を得られないことがある．最近，単心拍での3D画像取得が可能となり，このような複数心拍法の限界を克服できる可能性があるが，その計測精度に関する検討は少ない．本研究の目的は単心拍3D心エコ-法による左室容量の計測精度について明らかにすることである．
【方法】
1，フレームレートの影響についての検討対象は洞調律の心疾患30例（男性16例，平均年齢61±16歳）．超音波診断装置はGE社製Vivid E9，探触子は3Vプローブを用いた．単心拍3D画像を低フレームレート（3-7/s），中フレームレート（8-11/s），および高フレームレート（12-20/s）で記録して左室拡張末期容積（EDV：ml），左室収縮末期容積（ESV：ml）およびLVEF（％）を計測し，複数心拍（4心拍）で構成された3D画像（フレームレート：20-45/s）での計測値と比較した．EDVおよびESVはオフライン解析ソフトEcho PAC PCを用いて計測した．2，MRIとの比較検討単心拍3D心エコ-法で求めた計測値の信頼性を評価するため，MRIでの計測値と比較検討を行った．対象はMRIおよび3DEを同日に施行できた14例（男性8例，平均年齢53±11歳）．MRIはPHILIPS社製1.5Tの装置を使用した．オフライン解析ソフトView Forum R5.1V1L1でEDV，ESVおよびLVEFを計測し，中フレームレートで取得した単心拍3D画像の計測値 と比較した．
【結果】
1．フレームレートの影響について（表1参照）単心拍3D画像が解析可能であった症例数はフレームレートにより差が認められた（低:83％，中:100％，高:86％）．複数心拍法の計測値は，中フレームレートで取得した単心拍法での計測値と最も強い相関を示した．2．MRIとの比較検討（表2参照）単心拍3D心エコ-法で求めた計測値はMRIによる計測値と良好に相関した．
【結論】
3D心エコーによる単心拍法は複数心拍法と同様に計測精度が高く，左室容量評価に有用であることが示唆された．
【参考文献】
［1］Sugeng, L at al. Circulation. 2006;114:654-661.