Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
基礎:組織弾性(3D,新手法)

(S349)

Elastographyにおける3次元弾性像構成手法の検討

Rendering method for three dimensional Elastography

猪上 慎介, 脇 康治, 辻田 剛啓, 林 哲矢, 村山 直之, 大竹 剛, 三竹 毅

Shinsuke INOUE, Koji WAKI, Takehiro TSUJITA, Tetsuya HAYASHI, Naoyuki MURAYAMA, Tsuyoshi OTAKE, Tsuyoshi MITAKE

㈱日立メディコUSシステム本部 開発設計部

Ultrasound System Devision, Hitachi Medical Corporation

キーワード :

【はじめに】
Real-time Tissue Elastography(*)(以下Elastographyと略す)は,超音波を用いて組織の弾性特性を画像化する手法であり,乳腺・甲状腺をはじめとした多くの領域で使用されている.
今回,硬さ情報を3次元で把握するため,新たにElastographyにおける3次元弾性像構成手法について検討したので報告する.3次元 Elastographyにより硬さの広がりを3次元的に観察可能にし,付加価値の高い新たな診断情報を提供できると考えられる.
【検討内容】
ファントムには軟らかい素材の中に,球および立方体の硬い素材を内包させたものを用いた.試作機と3D用リニアプローブを用いて取得,貯蓄した超音波ボリュームデータから拡張複合自己相関法により,Elastographyボリュームデータを取得した.硬い部位と軟らかい部位を分離して個別にレンダリング処理を行い,従来のElastography同様,硬いレンダリング像は青色で,軟らかいレンダリング像は赤色で表示することで,硬い部位と軟らかい部位のレンダリング像を構築した.
【結果】
図1は球状ファントムを用いた結果であり,(a)は硬い部位のみを青いレンダリング像として表示したものである.3次元に硬い領域の広がりを描出でき,硬い領域を球形状に表示可能であった.(b)は軟らかい部位を赤いレンダリング像として表示したものである.硬い部分の圧迫による歪みの大きな領域の広がりが,簡便に確認できた.(c)は硬い部位と軟らかい部位のレンダリング像を組み合わせて表示したものである.重ね合わせて表示を行うことで,その相互関係を一目に把握可能であった.
また立方体のファントムにおいても同様な結果が得られ,形状判別にも有効な観察手法になることが示された.
【まとめ】
ファントムを用いた3次元 Elastographyによる3次元表示方法の検討を行い,硬さの形状把握,位置把握が可能なレンダリング像を構築した.また,硬い部位と軟らかい部位を個別にレンダリングすることで,所望の硬さのみを選択的に表示することが可能となり,3次元的な硬さ情報の観察や相互関係の把握が容易になると思われる.
※Real-time Tissue Elastographyは(株)日立メディコの日本における登録商標です.