Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
基礎:超音波顕微鏡

(S347)

生体観察用光音響顕微鏡のための高速スキャンシステム開発

High Speed Mechanical Scan for Biomedical Photoacoustic Microscopy

小池 秀幸1, 熊谷 和敏1, 穂積 直裕2, 植村 努2, 松浦 祐司1, 西條 芳文1

Hideyuki KOIKE1, Kazutoshi KUMAGAI1, Naohiro HOZUMI2, Tsutomu UEMURA2, Yuji MATSUURA1, Yoshifumi SAIJO1

1東北大学大学院医工学研究科, 2愛知工業大学工学部電気学科

1Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University, 2Department of Electrical Engineering, Aichi Institute of Technology

キーワード :

【目的】
近年,非侵襲・高速な生体組織のイメージングが重要となっている.光干渉断層法(OCT)をはじめとする光を用いた手法は高分解能に生体組織をイメージングすることができる.しかし,生体組織の光の吸収・散乱の影響によりイメージングできる深さは1 mmと限られている.その一方で光音響効果を用いた光音響顕微鏡を用いることで,生体組織の構造・機能を深さ3 mmまでイメージングできることが示されている[1-2].本研究では光音響顕微鏡の高速スキャンシステムの開発を目的とする.研究においては,高周波数音響顕微鏡のスキャンシステムを用いてそれを評価したので報告する.
【方法】
超音波顕微鏡は,トランスデューサ,トランスデューサを移動させるための2個の直交したステッピングモータ(X-Yステージ),ステージコントローラ,送信するパルス信号を生成するファンクションジェネレータ,A/D変換ボード,そしてWindows-PCから構成した.このシステムをLabVIEWプログラムを用いてWindows-PCから制御した.
【結果】
構築した超音波顕微鏡を用いてコインのイメージングを行った.イメージング像は4×4mmの領域で200×200のポイントから構成される.このとき,イメージング時間は90秒であった.光音響顕微鏡では光音響効果を得るために一般にYAGレーザが用いられる.YAGレーザの照射間隔は0.1秒である.超音波トランスデューサの照射間隔はYAGレーザに比して十分短い.そのため,このシステムを光音響顕微鏡のスキャンシステムに用いることで,高速なイメージングが可能であると考えられる.
【結論】
超音波顕微鏡の高速スキャンシステムの開発を行った.このシステムを用いることで,光音響顕微鏡においても高速スキャンが可能であることがわかった.今後は,このスキャンシステムを組み込み光音響顕微鏡の開発を目指す.
[参考文献]
[1] H. F. Zhang, K. Maslov, G. Stoica, and L. V. Wang, Nat. Biotechnol. 24, (2006) 848.
[2] H. F. Zhang, K. Maslov, M. Sivaramakrishnan, G. Stoica, and L. V.Wang, Appl. Phys. Lett. 90, (2007) 052901.