Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
基礎:エネルギー・治療

(S341)

強力集束型超音波による胎児心治療(超音波銃)の開発

Fetal cardiac intervention using a newly developed high-intensity focused ultrasound transducer

望月 剛1, 木原 泰三1, 射谷 和徳1, 小川 宏治1, 吉澤 晋2, 梅村 晋一郎3, 北角 権太郎4, 勝池 康允5, 千葉 敏雄6

Takashi MOCHIZUKI1, Taizou KIHARA1, Kazunori ITANI1, Kouji OGAWA1, Shin YOSHIZAWA2, Shin-Ichiro UMEMURA3, Gontaro KITAZUMI4, Yasumasa KATSUIKE5, Toshio CHIBA6

1アロカ株式会社研究所, 2東北大学大学院工学研究科, 3東北大学大学院医工学研究科, 4株式会社イノベンチャー・シー技術開発本部, 5株式会社イノベンチャー・シー事業本部, 6国立成育医療センター臨床研究開発部

1Research Laboratory, Aloka Co. Ltd., 2Department of Electrical and Communication Engineering, Tohoku University, 3Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University, 4Research & Development Div., Innoventure-c Co.,Ltd., 5Business Developments Div., Innoventure-c Co.,Ltd., 6Clinical Research and Development, National Center for Child Health and Development

キーワード :

【目的】
本研究では,体内の形態的異常で動的なものを標的とし,これを低侵襲性に是正しうる超音波治療照射装置(超音波銃)の開発を目指す.たとえば子宮内の低形成胎児心の治療において,母体外から三次元的に高い精度のピンポイント集束超音波(HIFU)による予測照射にて治療することを想定している.これまでのHIFU照射システムの多くは,“静止した部位(子宮筋腫,前立腺等)”で比較的“広範な領域”への照射を目指すものであり,今回の研究目的とは基本的に異なる.
【方法】
図に示すシステムを開発する.これは母体の外からHIFUを照射するHIFU照射装置(これはHIFU振動子と観測用のコンベックス型超音波プローブから成るHIFU照射ヘッド部)とそれを支える振動子保持装置と,HIFU振動子を励振する送信信号を出力するHIFU制御装置(パソコンと波形発生装置とアンプから成る)から構成される.超音波診断装置により高速で拍動する胎児心の断層画像を実時間で表示し,この動画像をHIFU制御装置内のパソコンに実時間転送する.パソコン上で,胎児心の動画から胎児の拍動波形を画像解析により求め,この胎児心拍波形からHIFU照射のトリガー信号を形成する.このトリガー信号によりHIFU波形が波形発生器で生成され,高電圧AMPにより増幅された送信信号がHIFU振動子に送られてHIFU照射をおこなう.
【結果】
子宮内の胎児をターゲットとし,母体表面から深さ15cmに位置に超音波の焦点を結ぶ必要があるため,1.1MHz,直径10cm,曲率半径15cmの凹面振動子を4個用い,角振動子の焦点を合わせた大型な超音波照射ヘッド部を試作した.この振動子ヘッド部を患者に固定し,かつ焦点を中心にヘッド部を回転できるHIFU振動子保持装置を開発しえた.また,拍動する心臓の画像から胎児心拍を検出し,HIFU照射のトリガー信号を出力できるソフトウェアを開発し,胎児心を模擬したファントムを用いた動作の確認に成功した.このファントムの超音波画像から同期信号を得てHIFU照射を行い,ファントムの動きに同期して照射が行われることを確認した.
【謝辞】
この研究はNEDOイノベーション実用化事業の一部として実施された.