Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
基礎:マイクロバブル

(S340)

Sonazoidを基盤とした分子標的微小気泡の開発

Development of antibody-carrying microbubbles based on Sonazoid

大谷 健太郎, 山原 研一, 池田 智明

Kentaro OTANI, Kenichi YAMAHARA, Tomoaki IKEDA

国立循環器病センター研究所再生医療部

Department of Regenerative Medicine and Tissue Engineering, National Cardiovascular Center Research Institute

キーワード :

【背景】
近年,抗原抗体反応等の生体反応を利用した特異的分子イメージング法の開発が様々なモダリティにより広く行われている.造影超音波法においても,生体内分子に特異的な抗体を殻上に有する微小気泡(分子標的バブル)を用いることで,分子イメージングが可能である.しかしながら,分子標的バブルの作成は容易ではない.本研究の目的は,臨床で使用可能な超音波造影剤Sonazoidを用いて分子標的バブルの作成が可能か否かについて検討することである.
【方法と結果】
我々はSonazoidの構成成分であるホスファチジルセリン(PS)に着目し,最初にPSと特異的に結合する事が知られているアネキシンVがSonazoidと結合可能か否かについて検討した.FITC標識アネキシンVとSonazoidを反応させた後,Sonazoidをフローサイトメトリー(FACS)により評価した.その結果,アネキシンVと反応させることで,FITC標識気泡が確認できた.また,アネキシンVの濃度依存的に蛍光標識気泡の割合は増加していた.次に,アビジン-ビオチン複合体をSonazoidの殻上で形成することが可能か否かについて検討した.ビオチン化アネキシンV,PE標識ストレプトアビジンと順次反応させたSonazoidをFACSにより評価した.その結果,PE標識気泡が確認でき,またアネキシンVが存在しない条件下では,PE標識気泡の割合は明らかに低下していることが確認できた.最後に,アビジン-ビオチン複合体形成による結合増幅法を応用することにより,Sonazoid表面にIgG抗体を接着させることが可能か否かについて検討した(図).ビオチン化アネキシンV,ストレプトアビジン,Alexa488標識-ビオチン化IgG抗体と順次反応させたSonazoidをFACSにより確認したところ,アビジン-ビオチン複合体の存在下において,Alexa488標識気泡の存在が確認できた.
【結語】
アネキシンV,アビジン-ビオチン結合法の利用により,Sonazoidを基盤とした分子標的気泡の作成の可能性が示唆された.今後,効率的な分子標的バブル作成法の開発や疾患動物モデルを用いた分子標的Sonazoidの安全性,有用性についての検討が必要である.