Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
基礎:マイクロバブル

(S340)

マイクロバブルを使った新しい腎杯穿刺法-基礎的実験-

Fundamental experiment on a new caliceal needle puncture technique using microbubble

石戸 則孝1, 岸本 涼1, 真弓 友介1, 山本 康雄1, 高本 均1, 山下 由美子2, 渡邉 敏充3, 柴田 憲邦4, 池田 弘4, 大元 謙治4

Noritaka ISHITO1, Ryo KISHIMOTO1, Yusuke MAYUMI1, Yasuo YAMAMOTO1, Hitoshi TAKAMOTO1, Yumiko YAMASHITA2, Toshimitsu WATANABE3, Norikuni SHIBATA4, Hiroshi IKEDA4, Kenji OHMOTO4

1倉敷成人病センター泌尿器科, 2倉敷成人病センター臨床工学室, 3倉敷成人病センター放射線技師室, 4倉敷成人病センター肝臓病治療センター

1Urology, Kurasiki Medical Center, 2Clinical Engineer, Kurasiki Medical Center, 3Radiological Technology, Kurasiki Medical Center, 4Hepatology, Kurasiki Medical Center

キーワード :

【はじめに】
経皮的腎砕石術(PNL)を要する腎結石症例においては,安全で有効な腎杯穿刺が必要不可欠である.珊瑚状結石など難治性結石患者の中には,拡張のない腎杯を有する症例が認められる.拡張のある腎杯内においては,腎杯内は超音波B-mode画像上,腎実質に比して低エコーとして描出されるが,拡張のない腎杯内において刺入した針先を視認することは通常困難である.水溶性ヨード造影剤入りのマイクロバブル造影超音波法により,超音波B-mode画像で刺入する腎杯が高エコーに描出されれば,腎杯の視認がより容易となり,拡張のない腎杯に対する針穿刺においてさえ,泌尿器科医がより安全に,安心して,迅速かつ確実にオーダーメイドの腎杯穿刺が遂行できる可能性がある.水溶性ヨード造影剤入りのマイクロバブル造影超音波法による腎杯穿刺の報告は現在まで認められないため,今回我々は,臨床応用に先立ち基礎的実験を行ったので報告する.
【方法】
マイクロバブルはCO2を用いた.CO2 3mlを10ml注射器に採り,強力ミノファーゲンC4ml,生理食塩水4ml,水溶性ヨード造影剤2mlをもう1本の10ml注射器に採り,用手混和する.用手混和は10ml用2本の注射器を三方活栓で接続し,20回程度のpumpingを繰り返すことによりCO2マイクロバブルを作製する.X線透視下に,水を満たしたビーカーの中に別の注射器を浮かべ,注射器内に軟性尿管鏡先端を挿入し,pumping終了後,即座にCO2マイクロバブルを軟性尿管鏡の操作孔から注入を開始する.超音波診断装置はAloka社製SSD3500で,マイクロコンベックス型プローブ(3.5MHz)にガイド金具を装着し,穿刺ラインを画出した.水中のCO2マイクロバブルが注入された注射器の注入口に向けて穿刺ライン上でUS対応針21Gを刺入し,X線透視,超音波,内視鏡の3者併用による同時観察を行った.
【結果とまとめ】
Pumping終了直後,CO2マイクロバブルは白濁するが,徐々に清澄な溶液に変化するので,内視鏡の視認には影響がなかった.ヨード造影剤が混入されているが溶液は水よりも軽く,高エコーな像が約5分間間得られ,穿刺針先の高輝度が保持され,さらにX線透視も同時に可能であった.CO2マイクロバブル造影超音波法は安価で,繰り返し使用が可能なため,腎杯穿刺に適していると考えられる.今後,他の造影剤や超音波診断装置による比較実験も試み,本技術の臨床応用に向けて検討を行いたい.