Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
基礎:マイクロバブル

(S339)

異なる高周波プローブにおける造影効果の検討

The difference of contrast effect between the probes

三塚 幸夫1, 金澤 真作2, 丸山 憲一1, 八鍬 恒芳1, 工藤 岳秀1, 原 真弓1, 緒方 秀昭2, 馬越 俊輔2, 齊藤 芙美2, 金子 弘真2

Yukio MITSUZUKA1, Shinsaku KANAZAWA2, Kenichi MARUYAMA1, Tsuneyoshi YAKUWA1, Takahide KUDO1, Mayumi HARA1, Hideaki OGATA2, Shunsuke MAGOSHI2, Fumi SAITO2, Hironori KANEKO2

1東邦大学医療センター大森病院臨床生理機能検査部, 2東邦大学一般・消化器外科

1Department of Clinical Functional Physiology, Toho University Omori Medical Center, 2Department of Surgery (Omori), Division of General and Gastroenterological Surgery, Toho university

キーワード :

【目的】
我々は当院倫理委員会承認(審査番号19-74)のもと,文書による患者の同意の上,乳房に対するソナゾイド造影超音波検査(以下,CEUS)を行っている.乳房CEUSでは高周波リニアプローブを用いるが,腫瘤のサイズや性状などによって使用する高周波リニアプローブを使い分けることがある.その際,装置に表示されるMI値を指標として造影の各種設定条件を調整しているが,プローブが異なるとMI値を同一にあわせても同じ造影効果が得られない場合がある.そこで我々は,水槽実験にて異なる二種類の高周波リニアプローブの造影効果を比較検討した.
【方法】
ソナゾイド希釈液を水槽内のチューブに満たし,それぞれのプローブで①:5秒ごとにMI値を一段階ずつ上げた時の輝度変化,②:MI値を一定にしたまま25秒間観察した時の輝度変化を観察し,動画で記録した.超音波診断装置はAplio XG (SSA-790A 東芝メディカルシステムズ社製),プローブはPLT-805AT (5〜12MHz,中心周波数7MHz)およびPLT-704SBT (4〜11MHz,中心周波数7MHz)を使用した.装置の設定条件はいずれのプローブもDepth:5cm,周波数:h5.5,Focus:2cmとし,水槽内のチューブがFocus (2cm)に位置するようにプローブの位置を調整し,チューブの最大径が得られる断面を心がけてプローブを固定した.チューブに満たすソナゾイド希釈液は,規定通りに調整したソナゾイド10μlを生理食塩水100mlで希釈し作成した.記録した動画よりTime Intensity Curve (TIC)を作成し,それぞれのプローブでの輝度変化を比較した.
【結果と考察】
①いずれのプローブでもMI値を上げるとともに輝度が高くなったが,PLT-704SBTではPLT-805ATよりも低いMI値で輝度が低下しはじめた.②同じMI値でも,PLT-704SBTではPLT-805ATよりも輝度が高く,より短時間で輝度の低下がみられた.今回の検討ではこれらの要因までは特定できていないが,周波数帯域やプローブ構造(音響レンズなど)の違いなど,様々な要因が関係している可能性が考えられた.
【結論】
プローブの種類が異なると同一のMI値であってもバブルに与える影響はそれぞれ異なり,単に表示されるMI値をあわせただけでは同じ造影効果が得られるとは限らない.そのため,CEUSを行う際にはMI値だけを過信せず,適切な造影効果が得られるよう,条件設定を調整する必要があると考えられた.