Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
基礎:マイクロバブル

(S338)

高調波・基本波成分比による造影エコーにおける組織信号の抑制に関する検討

Study on suppression of tissue signal by using harmonic to fundamental ratio in ultrasound contrast imaging

吉田 哲也1, 吉新 寛樹1, 今村 智久1, 佐藤 武史1, 神山 直久1, 森安 史典2

Tetsuya YOSHIDA1, Hiroki YOSHIARA1, Tomohisa IMAMURA1, Takeshi SATO1, Naohisa KAMIYAMA1, Fuminori MORIYASU2

1東芝メディカルシステムズ(株)超音波開発部, 2東京医科大学消化器内科

1Ultrasound Systems Development Department, Toshiba Medical Systems Corporation, 2Department of Gastroenterology & Hepatology, Tokyo Medical University

キーワード :

【はじめに】
造影超音波においてマイクロバブルと組織の弁別は重要である.我々は前回,空間的に反射係数が不均一なファントムを用いた基礎検討を行い,受信信号の2次高調波成分を基本波成分で規格化し,組織エコー成分が抑制できることを報告した[1].今回は臨床データを用いた検討を行ったので報告する.
【方法】
前回[1]同様に,1方向に位相が180°シフトした2パルスを送受信する.片方の受信信号から基本波成分Sfを抽出し,両方の受信信号を加算することで2次高調波成分S2を抽出する.その後,包絡線検波後にlogαS2-logβSfの計算を行いB-mode画像を生成した.さらに値の発散による画質劣化を抑制する為,Sfに適当な係数を加算した.なおここでゲイン係数α/βはおよそ40〜46dBとした.超音波診断装置はAplioXGTM (SSA-790A),探触子は凸型プローブ(3MHz)を使用.肝臓内に高輝度な結節を持つ患者に対して,超音波造影剤ソナゾイドR投与前と,投与から約10分後にほぼ同一な断面でRFデータを取得し,解析はRF信号をPCに転送後に行った.なお送信周波数は2.0MHz,音圧はMI:0.1〜0.2とした.
【結果とまとめ】
造影剤投与前では,2次高調波成分S2を映像化する従来方式に比べて,組織信号が空間的に抑制された.クッパー相において,バブルは抑制された組織成分よりも高く描出され,映像化可能であった.以上から本手法は生体においても,不均一な背景組織の影響を除去し,バブルの分布のみを観察可能であることが示唆された.現在はオフラインの処理のため,同一断面のデータ取得が困難,バブルの動的変化が観察できない問題がある.今後は本手法を装置内に実装しリアルタイム化することで,より詳細な有効性の確認を行う必要がある.
【参考文献】
[1]吉田他,信学技報 US2009-13, 109(107):6-10 (2009).