Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
基礎:マイクロバブル

(S338)

血管分岐部での凝集体形成によるマイクロカプセルの流路選択性向上のための実験的検討

Study for active path selection of microcapsules by forming aggregation at bifurcation of blood vessel

渡會 展之1, 江田 廉2, 中元 隆介1, 桝田 晃司1, 宮本 義孝3, 千葉 敏雄4

Nobuyuki WATARAI1, Ren KODA2, Ryusuke NAKAMOTO1, Kohji MASUDA1, Yoshitaka MIYAMOTO3, Toshio CHIBA4

1東京農工大学大学院生物システム応用科学府, 2千葉大学大学院融合科学研究科, 3名古屋大学医学部, 4国立成育医療センター臨床研究開発部

1Graduate School of Bio-Applications and Systems Engineering, Tokyo University of Agriculture and Technology, 2Graduate School of Advanced Integration Science, Chiba University, 3School of Medicine, Nagoya University, 4Department of Clinical Research Development, National Center for Child Health and Development

キーワード :

【はじめに】
近年,超音波を用いた選択的薬物伝送及び遺伝子導入による治療法が盛んに行われている[1][2].我々はこれまで,薬物キャリアとしてマイクロカプセルを用い,分岐を有する流路に対して能動的に流路選択が可能であることを示した[3]が,直径が数十ミクロンと大きく,生体応用できないサイズであった.そこで今回は,血球と同程度の大きさのマイクロカプセルまたはマイクロバブルを用いて,人工血管内で同様の流路選択を行うために必要なパラメータを導出した.
【方法】
まず,超音波透過性の良いポリエチレングリコールを使用して内径2mmのY字型分岐を有する模擬血管を作製した.次にFig.1に示すように,平面型トランスデューサを様々な方向・位置に設置して,流路中に音場を形成するための実験系を構築した.そして,照射する超音波の音圧・周波数・照射角度及び位置・流速をパラメータとし,上流からカプセルの懸濁液を注入し,分岐部のカプセルの挙動をマイクロスコープを用いて観測した.
【結果】
Fig.2に結果の一例として,最大音圧400kPa,中心周波数2MHzの超音波を照射し,流速を20mm/sとした場合の分岐部を示す.ここで使用したカプセルの直径は平均3ミクロンであり,照射超音波の共振周波数に近いため,Bjerknes力が生じてカプセル同士が凝集体を形成しながらPath Bへ押し出される様子が確認された.流路選択性能の評価には,これまでと同様の下流領域のカプセルの影を積算することにより計測したものを用いた.その結果,様々なパラメータを調整することにより,目的側の経路へ100%に近い効率でカプセルを誘導できることが確認できた.
【まとめ】
適切なパラメータで超音波を照射することで,血球と同程度の大きさのマイクロカプセルでも任意の流路への誘導が可能であることを確認した.今後は動物実験を含めた生体に近い状況下で実験を継続する.
【参考文献】
[1] Y. Yamakoshi and T. Miwa, JJAP, Vol.48, No.7, 07GK02, 2009
[2] 桝田ほか,生体医工学,Vol.46, No.2, pp.275-282, 2008
[3] K. Masuda, et al, JJAP, Vol.48, No.7, 07GK03, 2009