Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
基礎:ナビゲーション,位置計測

(S331)

プローブ保持ロボットによる頸動脈断層画像の自動探索アルゴリズムの開発

Development of the algorithm that automatically scans and detects carotid artery by the probe holding robot

中楯 龍1, SOLIS Jorge2, 高西 淳夫2, 菅原 基晃3, 仁木 清美4, 小川 宏治5, 皆川 栄一5

Ryu NAKADATE1, Jorge SOLIS2, Atsuo TAKANISHI2, Motoaki SUGAWARA3, Kiyomi NIKI4, Kouji OGAWA5, Eiichi MINAGAWA5

1早稲田大学大学院先進理工学研究科, 2早稲田大学理工学術院, ヒューマノイド研究所, 3姫路獨協大学医療保健学部, 4東京都市大学工学部, 5アロカ株式会社研究所

1Graduate School of Advanced Science and Engineering, Waseda University, 2Faculty of Science and Engineering and Humanoid Robotics Institute, Waseda University, 3Department of Medical Engineering, Himeji Dokkyo University, 4Department of Biomedical Engineering, Tokyo City University, 5Research Laboratory, Aloka Co., Ltd.

キーワード :

【はじめに】
循環器系疾患を早期に発見することを目的としたWave Intensity [1]の計測は,頸動脈の長軸断面における血管径と血流速度の連続データを得ることにより行われるが,計測者の手や患者が動くなどして計測中にプローブが血管中心からずれると計測精度や再現性に問題が生じる.従来のプローブ固定器具では計測者の手の動きは解決できるが患者の動きには対応できない.そこで著者らはプローブ保持ロボットを開発し,Bモード画像から頸動脈を自動認識しながら頸部表皮上を探索し,診断に最適な計測点まで自動的にプローブを誘導し,かつ患者が動いてもすぐに計測点に復帰する制御アルゴリズムを開発した.
【方法】
開発したロボット(図1)は6自由度のパラレルリンク機構を有する[2].目標とする画像は,内膜が前後壁ともに明瞭に描出されている(これをもってプローブが正確に血管中心を捉えていることの確認とする) 頸動脈長軸断面像である.頸動脈検出の様子を図2に示す.患者の頸部付近にプローブが位置するようにマニピュレータを固定し,自動探索をスタートする.ロボットはプローブと皮膚の接触を画像より検知することにより,頸部表皮の座標を数点取得する.それらの座標を結ぶ線に沿ってプローブを動かしスキャン動作を行う.スキャン中にプローブが皮膚から離れた場合は画像の一部が暗くなるため,これを検知してプローブの姿勢を修正する.画像処理により頸動脈長軸断面を検出したところでスキャン動作を停止し,その後内膜の明瞭度が最大になる様にプローブを誘導する.内膜の明瞭度が下がれば患者が動いたと判断し,再度探索動作を繰り返す.
【結果】
健常者11名に対し各5回の動作確認を行った.頸動脈を発見し内膜描出まで完了したものを成功とし,成功率は全体の91%であった.失敗した試行の要因は,頸静脈および横長の黒い領域を誤検知したものであり,現在画像処理の改良を進めている.
【まとめ】
プローブ保持ロボットによる頸動脈自動探索動作を実現した.今後,画像処理,プローブ動作パターンの改良を進め,計測再現性の検証を行う.
【参考文献】
[1] M. Sugawara et al.: Med Biol Eng Comput 47(2009), 197-206
[2]中楯 龍 他:第26回日本ロボット学会学術講演会予稿集(2008), 1K1-02