Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
基礎:音場計測

(S328)

高空間分解能を目指した新しいシュリーレン法の倒立型顕微鏡への応用

A microscopic Schlieren system for visualization of high-frequency ultrasound fields

三本松 美明, 工藤 信樹, 清水 孝一

Yoshiaki SANBONMATU, Nobuki KUDO, Kouiti SIMIZU

北海道大学大学院情報科学研究科生命人間情報科学専攻

Bioengineering and Bioinfomatics, Graduate School of Infomation Science and Technology, Hokkaido University

キーワード :

【はじめに】
我々は,シュリーレン光学系と同等の処理をCCDカメラで撮影した画像を計算機上で処理することにより実現する新しいシュリーレン法を提案し,その有用性に関する検討を行ってきた.この手法は,大型レンズなどの光学系を必要としないため,種々の光学系に組み込みが可能と考えられる.そこで本研究では,新しいシュリーレン法を光学顕微鏡に応用し,空間分解能の向上を目指した.
【方法】
新しいシュリーレン法では,超音波照射と非照射の2条件で画像を撮影し,その差分を求めることにより超音波で変調された光のみを抽出し,音場を可視化する.実験システムは,超短パルス光を発生するレーザダイオード (浜松ホトニクス,SLDHG-81/C,パルス幅114 ps),CCDカメラ (MUTOH,CV-04,A/D 変換精度 15 bit),画像処理用計算機から構成される.本手法を組み込む顕微鏡には倒立型光学顕微鏡 (OLYMPUS,IX70) を用い,照明用光源をレーザダイオードに置き換え,CCDカメラをサイドポートに接続した.対物レンズは倍率 4 倍(OLYMPUS UPLanFL,作動距離 17 mm),倍率 10 倍(OLYMPUS UPLanFN,作動距離 10 mm)のものを用いた.実験では,血管内超音波プローブの小型高周波振動子(振動子部の外形 0.5 × 0.8 mm2,中心周波数 14 MHz)を用い,従来の光学系(鈴木他.超音波医学,35 (suppl) : s280,2008)と顕微鏡に組み込んだ光学系の両方で音場の可視化を行った.
【結果および検討】
各光学系で撮影した画像を図1(a,b,c)に示す.各光学系で観察できる範囲は異なるが,音場が存在する0.5 × 0.5 mm2 の範囲を切り出して表示してある.画像の輝度の大小がそれぞれ正圧と負圧のレベルに対応する.各画像右の波形は▼と▲を結んだ音軸上の輝度分布である.音波の1波長(約 107μm)と得られた画像のピクセル数から求めた空間分解能は,(a)20μm/pixel,(b) 2.5μm/pixel,(c)0.93μm/pixelであった.対物レンズの倍率の増加に伴い空間分解能は向上したが,照明光量の低下とともにノイズが増大する傾向が見られた.以上の結果より,超音波計測の標準であるメンブレンハイドロホンでも計測が困難な微弱高周波音場を本手法を用いて可視化できることが確認された.