Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

奨励賞演題
消化器

(S316)

ソナゾイド造影超音波における肝腫瘤性病変の検討-高エコー腫瘤を中心に-

Examination of the liver tumor in the Sonazoid-enhanced ultrasonography -Mainly on hyper echoic tumor-

中村 俊一1, 岡崎 真悟1, 野瀬 弘之1, 大野 竜一1, 東 弘志1, 宮下 憲暢2

Shunichi NAKAMURA1, Shingo OKAZAKI1, Hiroyuki NOSE1, Ryuichi OHNO1, Hiroshi AZUMA1, Kencyo MIYASHITA2

1JA北海道厚生連網走厚生病院医療技術部放射線技術科, 2JA北海道厚生連網走厚生病院内科

1Radiological Technology, Abashiri kosei General Hospital, 2Internal Medicine, Abashiri kosei General Hospital

キーワード :

【背景・目的】
ソナゾイド造影超音波検査は造影剤投与後3分までの血管相(vascular phase)における肝腫瘤性病変の鑑別診断と10分以降のkupffer相(kupffer phase)における肝病変の存在診断が得られ,その有用性は高く評価されている.しかし,Bモードにて肝腫瘤が高エコーを呈する症例においては血管相・kupffer相にて診断に苦慮することが多い.そこで今回我々は,通常観察後にFEI(Flash Echo imaging)を追加し診断に寄与するか検討したので報告する.
【使用機器】
東芝社製Aplio XG,造影モードはpulse subtraction法を用いた.MI値0.2〜0.3,フレームレート15/secに設定後,低音圧連続送信にて観察した.造影剤は全症例0.5mlとした.
【対象・方法】
2008年10月〜2009年12月までに当院にて造影USを施行し,総合画像診断または病理学的に診断が確定した高エコー腫瘤20症例24結節である.内訳は転移性肝癌12結節,肝血管腫5結節,肝限局的脂肪沈着6結節,肝血管筋脂肪腫1結節.平均腫瘍径は14.6±11.7mmであった.通常観察は造影剤投与後180秒までを血管相とし,scanを一旦休止し10分以降をkupffer相とした.その後,高音圧モードに変更しFEI像を得た.検討項目は血管相にてリング状染影,kupffer相にて欠損像を呈する結節を転移性肝癌としたときの診断率を算出した.
【結果】
通常観察,FEI追加時の診断率はそれぞれsensitivity 83.3%,100%,specificity 75.0%,91.2%,accuracy 79.2%,95.8%であった.
【考察】
従来,高エコー腫瘤はtissueとbubbleのエコーが重なり,kupffer 相において正確な染影評価が困難であった.今回,我々は通常観察後にFEIを追加し,kupffer 相の再評価を加えることで,転移性肝癌の診断率はsensitivity,specificity共に通常観察時と比較し高値であった.またaccuracyについても高く,飛躍的に診断率を向上させることが可能であった.ソナゾイド造影超音波におけるkupffer相は低音圧での観察が基本ではあるが,高音圧での観察も臨床的には有用であった.
【結語】
Bモードにて肝腫瘤が高エコーを呈する結節にはKupffer相にてFEIを追加すべきである.