Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

奨励賞演題
消化器

(S313)

造影ハーモニックEUSによる上部消化管粘膜下腫瘍の鑑別の試み

Dynamic imaging of GI submucosal tumors by contrast enhanced harmonic EUS

坂本 洋城, 北野 雅之, 小牧 孝充, 今井 元, 鎌田 研, 工藤 正俊

Hiroki SAKAMOTO, Masayuki KITANO, Takamitsu KOMAKI, Hajime IMAI, Ken KAMATA, Masatoshi KUDO

近畿大学消化器内科

589-8511 Gastroenterolgy and Hepatology, Kinki University School of Medicine

キーワード :

【背景】
EUSは他のモダリティーに比べ粘膜下腫瘍(SMT)の空間分解能が優れており,臨床診断の場に広く応用されている.しかしながら,依然としてSMTの鑑別診断は困難でありEUSでさえ満足できる状況ではない.近年,新しい超音波技術である超音波造影剤を用いた造影ハーモニックEUS(CEH-EUS)が開発され,リアルタイムに腫瘍内の微小血管の描出が可能となった.
【目的】
今回我々はCEH-EUSを用いて上部消化管SMTの微小血管の観察を行い,鑑別診断能が向上するか検討した.
【方法】
2007年5月から2009月までに造影CT(MD-CT)およびCEH-EUSを行った62症例のSMT(嚢胞9例,膿瘍 1例,平滑筋腫 8例,神経鞘腫 1例,炎症性繊維性ポリープ3例,迷入膵12例,GIST 29例)を対象とした.超音波内視鏡はオリンパス社製GF-UE260P ,画像装置はアロカ社製Prosound SSD α-10,超音波造影剤はSonazoid15μ/kgを用いた.CEH-EUSではSonazoid静脈投与10-15秒後(vessel image)と40-60秒後(perfusion image)の腫瘍内血流を観察した.外科的切除を行ったGISTは核分裂像および浸潤の有無により悪性度評価を行い,低および高悪性群の2群に分けた.
【結果】
嚢胞病変を除く全てのSMTはEUS-FNAまたは外科的切除による組織学的診断を行った.EUSによる診断では17例(28%)が最終診断と異なっていた(表参照)CEH-EUSのSMT内の血流により4typeに分類が可能であった.これら造影EUSの分類をEUS診断に加えることにより診断能(83%)はEUS単独診断能(72%)に比べ向上した.また,全ての高悪性度GISTs病変がVessel imagesで腫瘍辺縁より中心性に流入する異常血管(abundantly vessels)が観察された.高悪性度GISTにおける異常血管の検出感度はCEH-EUSおよびMD-CTは100%と33%で,3cm以下のGISTに関しては100%と0%であり,いずれもCEH-EUSが優れていた.
【結語】
CEH-EUSはGISTを含むSMTの微小血流の描出を可能とし,SMTの鑑別診断の補助診断に有用であることが示唆された.