英文誌(2004-)
特別企画
特別企画4
結節性甲状腺腫診断基準をめぐって
(S303)
甲状腺結節のFlow Imaging
Flow Imaging of Thyroid Nodules
宮部 理香
Rika MIYABE
静岡赤十字病院外科
Shizuoka Red Cross Hospital
キーワード :
甲状腺結節の診断を巡る諸問題として,血流情報の評価が上げられる.現在使用されている超音波機器のほとんどはドプラ機能を有しており,スクリーニングの段階で血流情報を所見として記載されるようになってきている.一方で,血流情報の評価方法は施設間や検者間で差があり,個別の診断基準を用いているのが現状ある.また,機器による感度の差など,標準化に向けて未だ多くの問題が残されている.ドプラでの観察が日常的になった今,評価法や用語の統一が急がれる.
今回,結節性甲状腺腫の診断基準を考えるにあたり,幅広く文献検索を行い,エビデンスに基づいた診断基準の作成を検討した.多くの文献で,悪性腫瘍で特に血流が多い傾向が見られるという結果であった.特に,濾胞性腫瘍の診断にドプラ法が有用であり,細胞診で良悪性の判断がつかない濾胞性腫瘍の治療方針を決める上での重要なmodalityとなっている.濾胞癌では濾胞腺腫に比し血流が豊富に認められる.更に,腫瘍内部を貫通する血管のFFT解析にてpulsatility index (PI)値やresistance index (RI)値を測定し,悪性では末梢血管抵抗が高いため高値をとることも報告されている.しかし,微小浸潤型濾胞癌ではこれらの所見が見られないことも多く,B-mode所見や臨床情報を十分考慮する必要がある.
文献検索結果を中心に,現状と今後の課題について検討する.