Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

ワークショップ
ワークショップ7
インターベンションと超音波法

(S287)

下肢動脈慢性完全閉塞病変に対するエコーを用いた血管内治療の有用性

Usefulness of echo guided endovascular therapy for chronic total occlusion of peripheral arterial disease

橘内 秀雄1, 岩佐 真弓1, 伊藤 真奈美1, 宮本 明2, 袴田 尚弘2, 福田 正浩2, 山内 靖隆2, 久原 亮二2, 手塚 信吾2, 秋田 孝子2

Hideo KITSUNAI1, Mayumi IWASA1, Manami ITHO1, Akira MIYAMOTO2, Naohiro HAKAMATA2, Masahiro FUKUDA2, Yasutaka YAMAUTI2, Ryouji KUHARA2, Singo TEDUKA2, Takako AKITA2

1菊名記念病院検査科, 2菊名記念病院循環器内科

1Department of Laboratory, kikuna memorial hospital, 2Department of Cardiovascular medicine, kikuna memorial hospital

キーワード :

末梢動脈疾患(PAD)に対する血管内治療(EVT)において,慢性完全閉塞病変(CTO)は,ガイドワイヤー(GW)通過が容易でなく,狭窄病変に比べEVTの初期成功率が低い.通常,GW操作は,X線透視及び血管造影にて行われるが,CTOでは閉塞部内腔を観察できないため,GW操作はもっぱら術者の経験による.当院では,CTOに対するEVTでは,体表エコーで閉塞部内腔を観察しながらGWを操作するエコーガイド下EVTを行い,良好な成績を得ている.エコーガイド下EVTは,CTOに対するEVTの成績を向上させるだけなくX線被爆や造影剤の使用量の減少に役立つ.今回,我々は,エコーガイド下EVTの利点・欠点及びエコー操作の要点・注意点について報告する.
【エコーガイド下EVTの利点と欠点】
利点1.血管造影では描出できない閉塞血管の内腔を観察することができる.2.血管内腔とGWを同時に描出でき,GWを目標方向へ誘導することができる.3.血管壁の内膜が描出できるため,真腔と偽腔を鑑別することができる.4.X線透視と造影剤をほとんど使わないため,身体への影響が少なく腎障害のある患者でも治療することができる.欠点1.血管壁の石灰化や石灰化プラークにより血管内腔が見えずGWを誘導することができないことがある.2.詳細な画像を得るには,ハイエンドな装置と技師の経験が必要.
【エコー操作の要点】
1.装置の条件を最適化し,ノイズ軽減や多方向送受信などの高度処理を利用する.2.GWを誘導する際は常にGWの先端を描出し,目標血管を同時に描出する.3.血管内腔とGWが一緒に見える断層面を描出すために,常にプローブを細かく動かし最適な断層面を描出する.4.GWは常に血管の中心を捕らえるように誘導し,血管壁に近づいた際は中心の位置まで戻ってやり直す.5.血管壁の石灰化や石灰化プラークにより血管内腔がみえない時は,プローブを置く位置や角度を工夫し,明瞭な断層面を描出する.
【注意点】
1.血管内腔とGWが同時に描出できない時には,GWが偽腔へ迷入していることが多いため,確実に両者が描出できている位置まで戻る.2.GWが真腔にあるのか偽腔にあるのか迷った時には短軸で確認することも重要であるが,膝下血管の場合には血管径が細く判断できないことが多い.その際は少しGWを進めより末梢で確認するか,もしくは確実に真腔と判断できる部位まで戻って新たな道を探す.