Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

ワークショップ
ワークショップ6
びまん性肝疾患のUltrasound Functional Imaging

(S284)

ソナゾイド造影超音波による慢性肝疾患の肝内血管の形態的変化の解析

Analysis of Intrahepatic Vascular Morphologic Changes of Chronic Liver Disease by Micro-Flow Imaging with Contrast-Enhanced Sonography

杉本 勝俊1, 3, 白石 順二2, 3, 市村 茂輝1, 目時 亮1, 土井 邦雄3, 森安 史典1

Katsutoshi SUGIMOTO1, 3, Junji SHIRAISHI2, 3, Shigeki ICHIMURA1, Ryo METOKI1, Kunio DOI3, Fuminori MORIYASU1

1東京医科大学消化器内科, 2熊本大学医学部保健学科医用理工学講座, 3シカゴ大学放射線科

1Gastroenterology and Hepatology, Tokyo Medical University, 2Medical Physics, Kumamoto University School of Health Science, 3Radiology, The University of Chicago

キーワード :

【目的】
慢性肝疾患において,線維化の進展に伴って顕在化すると予想される,肝内脈管(主に門脈)の形態および肝実質の染影パターンの変化を,Micro Flow Imaging (MFITM)を用いたソナゾイド造影超音波にて評価する.
【方法】
本研究は,7人の消化器内科医による観察者実験とした.慢性肝疾患を有し,かつ組織学的な診断が得られた47症例,および10人の健常例に対してMFIによる造影超音波検査を実施した.この内の27症例はMFI検査の再現性(信頼性)を評価するために,肝のスキャン断面を変えて,同一症例に対し2回のMFI検査を行い,計54症例84動画像を評価の対象とした.評価は,専用のコンピュータ・インターフェースによるオフサイトで画面に表示されるMFIの動画像を観察し,肝内脈管の形態および肝実質の染影パターン等に関連する9つの画像特徴(門脈枝の消失・走行不整・分岐角度の鈍角化,血流速度の低下・不連続性,動脈枝の顕在化,実質の染まりの不均一性など)の所見の有無について確信度を評定した.
【成績】
各画像特徴における7人の平均評定値と組織学的な線維化の程度(F0-F4)は,「門脈枝の走行の不整」と「門脈枝の分岐角度の鈍角化」の画像特徴を評定化した場合に,それぞれ,r=0.806とr=0.794の強い正の相関関係を認めた.また,慢性肝疾患を肝線維化の程度によって,F≥F2, F≥F3, およびF≥F4に分類する場合の,ROC曲線下の面積による診断能の評価では,各分類について選抜された画像特徴を用いることで,それぞれ,0.920, 0.973, および0.931と高値を示した.さらに,同一症例で,かつスキャン断面が異なる2つのデータ間の,評定値の相関係数の平均値は0.811と高く,MFI画像の再現性(信頼性)は高いと考えられた.
【結論】
MFIを用いた造影超音波検査は,肝線維化の程度の推定に有用であることが示唆された.