Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

ワークショップ
ワークショップ6
びまん性肝疾患のUltrasound Functional Imaging

(S283)

造影超音波検査を用いた肝と脾の輝度比(L/S比)による慢性肝疾患進展度推定の試み

Study for evaluation of LSratio using CEUS by Sonazoid in patient with chronic liver disease

山平 正浩1, 田中 弘教1, 2, 吉田 昌弘1, 柴田 陽子1, 東浦 晶子1, 橋本 眞里子1, 赤尾 憲二3, 池田 直人2, 西口 修平2, 飯島 尋子1, 2

Masahiro YAMAHIRA1, Hironori TANAKA1, 2, Masahiro YOSHIDA1, Youko SHIBATA1, Akiko HIGASHIURA1, Mariko HASHIMOTO1, Kenji AKAO3, Naoto IKEDA2, Syuhei NISHIGUCHI2, Hiroko IIJIMA1, 2

1兵庫医科大学超音波センター, 2兵庫医科大学内科肝胆膵科, 3東芝メディカルシステムズ株式会社兵庫支店

1Department of Ultrasound Imaging Center, Hyogo College of Medicine, 2Division of Hepatobiliary and Panceatic diseases Department of internal medicine, Hyogo College of Medicine, 3Hyogo branch, Toshiba Medical Systems Corporation

キーワード :

【目的】
慢性肝疾患の進展度を診断する方法として肝生検がゴールデンスタンダードであるが,侵襲性などの問題点もある.以前より我々は,ソナゾイド造影超音波検査による肝実質相での肝と脾の実質輝度比(LS比)が慢性肝疾患の進展度と関連することについて報告してきた.今回,組織所見の得られた45例については更に組織学的な線維化進展度も検討した.
【方法】
対象は健常人ボランティア(N群)68例,慢性肝疾患患者106例を対象とした.慢性肝疾患の分類は,組織学的あるいは血小板数10万以下,食道静脈瘤など門脈圧亢進症状の有無,画像所見などより慢性肝炎群(CH群)51例,肝硬変群(LC群)55例に分類した.各群の平均年齢はそれぞれN群61.0歳,CH群68.6歳,LC群68.1歳であった.輝度測定は東芝AplioXGを用いてSonazoid0.0075ml/kgをbolus投与後20分以降での肝実質(L) ,脾実質(S)の輝度よりLS比(L/S)を算出した.輝度測定の方法はフォーカス付近を中心として1cmのROIを解析ソフト(image lab)を用いて5ケ所計測しその平均を求めた.更に組織所見と対比し得た45例については線維化グレードとの検討を行った.なお本研究は倫理委員会の承認と同意取得の上で行われた.
【結果】
肝実質輝度(dB)はN群:-23.8±3.3,CH群:-23.8±3.1,LC群:-26.7±3.9と慢性肝疾患の進行とともに輝度が暗くなる傾向があり,LC群はN群,CH群と比して有意に低値であった.(P<0.01)脾実質輝度(dB)に関しても肝実質輝度と同様にN群:-24.4±4.6,CH群:-23.1±4.1,LC群:-21.4±4.8であり,LC群はN群,CH群に比べ有意に高値であった.(P<0.01) これらより算出したLS比を検討したところ,N群:0.68±3.70,CH群:-0.74±3.18,LC群:-5.39±4.36と慢性肝疾患の進展度が増すにつれ有意に低値になった.(P<0.01)LS比をスピアマンの相関係数の検定にて検討したところ,Spleen Indexと相関関係を認めた.(相関係数rs=0.45,P<0.01)脾腫の有無でLS比を検討すると脾腫(-)群:-0.06±4.13,(+)群:-4.69±4.28と脾腫(+)群にて有意に低値であった.(P<0.01)また,LC群において静脈瘤の有無でLS比を検討すると,(-)群:-4.68±3.24,(+)群:-6.39±5.68と静脈瘤による有意差は認められずシャントによるLS比への影響は少ないものと考えられた.更に線維化グレード別の検討では,症例数は少なかったものの,F1-2:1.37±1.78,F3:-3.59±5.25,F4:-4.02±5.60であり,F1-2とF3,F4に有意差を認めた(P<0.01)が,F3とF4では有意差は認めなかった.
【結語】
ソナゾイドによる造影超音波検査は線維化進展度の推定に有用であった.