英文誌(2004-)
ワークショップ
ワークショップ6
びまん性肝疾患のUltrasound Functional Imaging
(S282)
脾動脈血流血管抵抗によるC型慢性肝炎の非侵襲的肝線維化評価法についての検討
Noninvasive Diagnosis of HepaticFibrosis With Chronic HepatitisC by Splenic Doppler Impedance Index
友國 淳子
Junko TOMOKUNI
財団法人倉敷中央病院臨床検査科
Laboratory medicine, Kurashiki Central Hospital
キーワード :
【目的】
C型慢性肝炎における肝線維化の評価はインターフェロン療法の効果や肝発癌のリスクの予測に重要であり,肝線維化診断のgold standardは肝生検である.しかし,肝生検は侵襲的で出血のリスクも伴うため,非侵襲的な新しい評価法が開発された.フィブロスキャンの有用性は数多く報告されているが高価な点と腹水や肥満など測定困難例も存在するため,より簡便で汎用性の高い測定法が望まれる.今回我々は肝および脾動脈血流評価による肝線維化評価を行った.
【方法】
当院で2007年〜2009年に経皮的肝生検を施行したC型慢性肝炎(新犬山分類F1-3) 29例(男性10例,女性19例,平均年齢60歳)を対象とした.測定項目はhepatic artery resistive index(HARI),hepatic artery pulsatility index (HAPI),splenic artery resistive index (SARI),splenic artery pulsatility index(SAPI),mean velocity of right portal vein (PVVmean)である.使用機器はTOSHIBA社製SSA790A,SSA700A.使用プローベは3.5MHZコンベックス型.F1-2をmild fibrosis,F3をsevere fibrosisとグループ化し,判別能をROC解析で評価した.
【結果】
それぞれのパラメーターのROCはHARI=0.545 ,HAPI=0.555,SARI=0.831,SAPI=0.789,PVVmean=0.510 であった.SARIのcut off 0.66で感度85.7%,特異度68.2%,PPV 46.2%,NPV 93.7%でSAPIのcut off 1.29で感度71.4%,特異度81.8%,PPV 55.6%,NPV 90.0%であった.線維化(F1-3)との相関はSARIおよびSAPIとも有意であった(SARI, Spearman coefficient=0.51,p=0.0005; SAPI ,coefficient=0.42,p=0.02,) .
【結語】
肝の線維化の進行に伴い,脾動脈のoutflowの抵抗が上昇することより,脾動脈血流評価は肝線維化の簡便で有用な測定法であり,今後症例を重ねてさらなる評価を行う予定である.