Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

ワークショップ
ワークショップ6
びまん性肝疾患のUltrasound Functional Imaging

(S278)

HCV感染症におけるVirtual Touch Tissue Quatification によるせん断波計測の検討

Evaluation of Tissue starin analytics in HCV infection patients by Virtual Touch Tissue Quatification

西川 徹1, 吉岡 健太郎2, 橋本 千樹2, 川部 直人2, 原田 雅生2, 中野 卓二2, 市野 直浩3, 刑部 恵介3, 杉山 博子1, 北原 志穂1

Toru NISHIKAWA1, Kentarou YOSHIOKA2, Senju HASHIMOTO2, Naoto KAWABE2, Masao HARATA2, Takuji NAKANO2, Naohiro ICHINO3, Keisuke OSAKABE3, Hiroko SUGIYAMA1, Shiho KITAHARA1

1藤田保健衛生大学病院臨床検査部, 2藤田保健衛生大学医学部肝胆膵内科, 3藤田保健衛生大学医療科学部

1Fujita Health University Hospital, Department of Clinical Laboratory, 2Fujita Health University, School of Medicine, Department of Internal Medicine, 3Fujita Health University, School of Science, Faculty of Medical Technology

キーワード :

【はじめに】
従来,消化器領域における超音波検査は,腫瘍性病変を中心としたものであったが,近年エラストグラフィーに代表されるびまん性疾患の評価を目的とした技術の登場により超音波検査による機能的評価に注目を集めつつある.今回,これら技術の1つVirtual Touch Tissue Quatificationにて,HCV感染症患者の評価を行う機会を得たので報告する.
【目的】
Virtual Touch Tissue Quatificationによるせん断弾性波の伝播速度を測定し,その結果と血液データの肝機能,血液線維化マーカーおよび肝酵素との関連を比較し,びまん性肝疾患におけるVirtual Touch Tissue Quatificationの有用性を検討した.
【対象】
2009年10月より同年12月までにVirtual Touch Tissue Quatificationを施行したHCV感染症患者139例(女性74例,男性65例,平均年齢は.60.7±13歳)を対象とした.
【方法】
使用装置は,持田シーメンス社製S-2000を使用し,Virtual Touch Tissue QuatificationにはAcoustic Radiation Force Impulse(以下ARFI)を使用した.測定方法は,右肋間より肝右葉で14ポイントの計測を行い,それぞれのせん断弾性波の伝播速度を測定し,全計測値の平均値を算出した.このARFIから得られた14ポイントの平均値と,血液データからTP,ALB,PLT,PT,AST,ALT,γGTP,ALP,ヒアルロン酸を比較した.なお,血液データは,Virtual Touch Tissue Quatification測定日と同日ないしARFI測定日から前後1ヶ月以内で,最も近い日のデータを採用した.
【結果】
Virtual Touch Tissue Quatificationと各血液データとの結果は,TPは,P値=0.5457,Speamanの順位相関係数-0.0469,ALBは,P値<0.001,相関係数-0.6223,PLTは,P値<0.001,相関係数−0.5665,ASTは,P値<0.001,相関係数0.7008,ALTは,P値<0.001,相関係数0.5887,γGTPは,P値<0.001,相関係数0.5535,ALPは,P値<0.001,相関係数0.4074,PTは,P値<0.001,相関係数-0.4926,ヒアルロン酸は,P値<0.001,相関係数0.6319であった.
【考察および結語】
Virtual Touch Tissue Quatificationは,せん断弾性波の伝播速度より組織の硬度を測定することを目的としていることからその評価を行う上で肝生検との対比はさけられなく,今後比較検討を行う必要がある.しかし,Virtual Touch Tissue Quatificationと相関関係にある血液データ項目が複数あることからもARFIによるVirtual Touch Tissue Quatificationは,びまん性肝疾患の機能的評価に寄与する検査となりえることが予想される.さらに,ARFIでは,多箇所での計測が非侵襲的に行え肝生検以上に肝全体の評価が行える可能性があり,以上のことから今後のびまん性肝疾患の評価に有用な指標となりえることが予想される.