Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

ワークショップ
ワークショップ5
用語の誤用

(S274)

診断基準作成における用語の誤用に関して-乳腺疾患の用語・診断基準に関して-

Misuse of Technical Term In Breast Ultrasound

宮本 幸夫

Yukio MIYAMOTO

東京慈恵会医科大学放射線医学講座超音波診断センター

Diagnostic Ultrasound Center Department of Radiology The Jikei University School of Medicine

キーワード :

 超音波診断学の進歩や超音波診断技術の多様性に伴い,様々な新しい超音波用語が誕生して来ていることはよく知られている.また,超音波診断の普及につれ,様々な学会や研究会において,超音波における診断基準やガイドラインが提唱されてきている.新しい超音波用語の誕生や新しい診断基準やガイドラインの作成や普及自体は,医用超音波分野の発展の成果でもあり歓迎すべきことではあるが,一方で,各分野における用語の定義における統一性の乱れや,その誤謬など,様々な混乱来してきていることは,憂慮すべき問題と考えられる.今回は,こうした問題の1 例として,日本超音波医学会と密接な関係にある日本乳腺甲状腺超音波診断会議(JABTS)から昨年上梓された乳房超音波診断ガイドライン(JABTS 編 南江堂)改訂版(以下JABTS ガイドライン)などをとりあげ,その中で認められた問題点につき概説し,日本超音波医学会の用語診断基準委員会において取り組むべき新たな問題とその対応における課題について私見につき概説する.
 なお,本発表の目的はJABTS ガイドラインの問題点をあげつらうことではない.現在,超音波診断領域で用いられている具体的事例を取り上げて,そうした問題の実態を紹介することとともに,用語の混乱をもたらした背景にある問題点について考証し,日本超音波医学会及び様々な医用超音波研究会の今後に関して提言させて頂くことが本稿の目的であることを,あらかじめお断りしておく.
今回の発表において取り上げる問題は,

1 用語の定義
  1)腫瘤の定義,2)形状の表現の仕方,3)エコーレベルの定義,
2 不自然な用語の使用(構築の乱れ:architectual distortion)
3 腫瘤サイズ計測法
4 解剖学用語の誤用
5 用語の名称変更
6 用語の問題によってもたらされる弊害
7 日本超音波医学会の役割
以上7項目の予定である.詳細は超音波医学Vol.37 No.3にてletter to the editerとして掲載予定であるため,そちらを参照されたい.