Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

ワークショップ
ワークショップ4
乳腺領域における腫瘤像を形成しない病変の超音波診断 ‐腫瘤像非形成性病変の概念を理解するために‐

(S270)

腫瘤像非形成性病変:「乳腺内の低エコー域」

Non-mass image-forming lesion:hypoechoic area in the mammary gland

渡辺 隆紀

Takanori WATANABE

仙台医療センター乳腺外科

Breast Surgery, Sendai Medical Center

キーワード :

現在日本超音波医学会腫瘤像非形成性疾患ガイドライン検討小委員会で腫瘤像非形成性病変について討議されている.乳腺内の低エコー域に関する定義や判定案を画像を用いて解説する.
【定義】
周囲乳腺あるいは対側乳腺と性状を異にする周囲乳腺より低エコーの領域で,腫瘤像として認識しがたいもの.注: 病変によっては腫瘤像とすべきか迷う場合もある.
【分類】
必要に応じて以下の用語を用いる.斑状低エコー域:比較的小さな低エコー域が複数まだらに存在し,全体として 1つの病変として認識できるもの.地図状低エコー域:斑状低エコー域が融合したようにみえるもの.境界不明瞭な低エコー域:斑状とも地図状とも表現しがたく,境界が不明瞭なために腫瘤として認識できないもの.
【診断】
両側性,多発性(瀰漫性,散在性)であれば,良性であることが多い.局所性や区域性の場合は悪性の場合もある.点状高エコーを領域内に認めれば悪性の可能性が高い.また,バスキュラリティや硬さも参考になる.
【代表的疾患】
1.良性疾患  乳管内乳頭腫症,異型上皮過形成,乳腺症 (上皮過形成,腺症,線維腺腫性過形成,線維症),炎症(リンパ球性乳腺炎,急性炎症など),放射状瘢痕・複雑型硬化性病変など2.悪性疾患非浸潤性乳管癌,管内成分優位の浸潤性乳管癌 ,浸潤癌,炎症性乳癌など