Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

ワークショップ
ワークショップ2
胆・膵・消化管疾患における造影エコー法の位置づけ

(S264)

造影ハーモニックEUSによるGISTの悪性度評価の試み

Estimation of the malignant potential of gastrointestinal stromal tumors: the value of contrast enhanced harmonic EUS

坂本 洋城, 北野 雅之, 工藤 正俊

Hiroki SAKAMOTO, Masayuki KITANO, Masatoshi KUDO

近畿大学 消化器内科

Gastroenterology and Hepatology, Kinki University School of Medicine

キーワード :

【背景】
超音波造影剤を用いた造影ハーモニックEUS(CEH-EUS)検査はリアルタイムに微小血管を観察できる新しい超音波技術である.
【目的】
今回我々はCEH-EUSを用いて上部消化管粘膜下腫瘍(SMT)の微小血管の観察を行い,GISTの悪性度評価について検討した.
【方法】
2007年5月から2009月までに造影CT(CE-CT)およびCEH-EUSを行った62症例のSMT(GIST 29例,平滑筋腫 8例,神経鞘腫 1例,炎症性繊維性ポリープ3例,迷入膵12例,嚢胞9例,膿瘍 1例)を対象とした.EUSはオリンパス社製GF-UE260P ,画像装置はアロカ社製Prosound SSDα-10,超音波造影剤はSonazoid 15μ/kgを用いた.CEH-EUSではSonazoid静脈投与10-15秒後(vessel image)と40-60秒後(perfusion image)の腫瘍内血流を観察した.外科的切除およびEUS-FNAによる組織学的診断が可能であったGISTは核分裂像および浸潤の有無により悪性度評価を行い,低および高悪性群の2群に分けた.
【結果】
29例中24例(82.8%)が外科的切除前にEUS-FNAにてGISTの診断および悪性度評価が可能であった.外科的切除を行ったGIST29例中16例が高悪性群,13例が低悪性群であった.外科的切除による組織診断を最終組織診断としたところ,EUS-FNAによる悪性度診断能は感度54%,特異度100%,正診率79%であった.CEH-EUSによるSMT内の血流の観察では,4 typeに分類可能であった(図参照).GIST症例において異常血管を認めたもの(type4)を高悪性度GISTとしたところ,CEH-EUSにおけるGISTの悪性度診断能は感度100%,特異度62%,正診率83%であった.高悪性度GISTにおける腫瘍内の血流の検出感度はCEH-EUSおよびCE-CTは100%と33%であり,3cm以下のGISTに関して100%と0%であり,いずれもCEH-EUSが優れていた.
【結語】
CEH-EUSはGISTを含むSMTの微小血流の描出を可能とし,SMTの鑑別診断の補助診断およびGISTの悪性度評価に有用であると示唆された.