Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

ワークショップ
ワークショップ2
胆・膵・消化管疾患における造影エコー法の位置づけ

(S262)

胆嚢隆起性病変に対する超音波造影剤ソナゾイドを用いた造影超音波検査の有用性

Usefulness of Sonazoid Contrast-Enhanced Ultrasonography for Gallbladder Polypoid Lesions

三好 広尚

Hironao MIYOSHI

藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院内科

Department Of Internal Medicine, Second Teaching Hospital Fujita Health University School Of Medicine

キーワード :

【目的】
胆嚢隆起性病変に対する超音波造影剤ソナゾイド(ペルフルブタン)を用いた造影超音波検査の有用性を明らかにする.
【対象と方法】
胆嚢疾患40例で,その内訳は胆嚢隆起性病変と鑑別困難であった胆嚢結石4例,胆嚢腺筋腫症11例(限局型6例),胆嚢ポリープ23例(切除例3例),胆嚢癌7例(切除例4例)であった.胆嚢ポリープ切除例3例はコレステロールポリープ2例,過形成性ポリープ1例であった.胆嚢癌7例の進行度はsStageⅠ2例,sStageⅢ1例,sStageⅣb1,fStageⅣ4例であった.大きさは胆嚢ポリープ5〜16.2mm(平均10.8mm),胆嚢腺筋腫症3〜14.3mm(平均9.2mm),胆嚢癌8.9〜40.4mm(平均26.5mm)であった.超音波診断装置は東芝社製SSA-790A(Aplio),SSA-790A(AplioXG),超音波造影剤ソナゾイド0.015mg/kgを溶解液2mlに溶解し,静脈内にbolus投与した.投与直後から30秒間(early vascularphase)観察し,180秒以降にMFI(Micro Flow Imaging)で観察した.各疾患にみられる所見,胆嚢癌と胆嚢ポリープの鑑別について検討した.超音波診断装置はMechanical Indexは0.1〜0.3,frame rateは10〜15fpsに設定した.Institutional Review Boardの承認を得て,説明文書を用いInformed Concentを行い,患者の同意を得て実施した.
【成績】
胆嚢結石4例はearly vascularphaseで造影効果は認められなかった.胆嚢癌,胆嚢ポリープはearly vascularphaseで泡のように水が沸騰する所見,僅かに沸騰する小さな泡のような所見,血流が病変内を不規則に回転している所見が認められた.泡のように水が沸騰する所見は胆嚢癌100%(8/8例),胆嚢ポリープ26%(6/23例),僅かに沸騰する小さな泡のような所見は胆嚢癌0%(0/9例),胆嚢ポリープ65.4%(17/26例)に認められ,泡のように水が沸騰する所見を悪性所見,僅かに沸騰する小さな泡のような所見を良性所見とした場合,感度100%(8/8例),特異度74%(17/23例),正診率80.6%(25/31例)であった.血流が病変内を不規則に回転している所見は胆嚢癌50%(4/8例),胆嚢ポリープ0%(0/23例)に認められ,血流が病変内を不規則に回転している所見を悪性所見,認めない場合を良性所見とした場合,感度50%(4/8例),特異度100%(23/23例),正診率87.1%(27/31例)であった.MFIでは病変内の直線状の血流の走行所見,病変内の屈曲蛇行した血流の走行所見が認められたが,これら所見の検出率は胆嚢癌5/8例(62.5%),胆嚢ポリープ7/23(30.4%)の12/31例(38.7%)と低率であった.12例について屈曲蛇行した血流の走行所見を悪性所見,直線状の血流の走行所見を良性所見とした場合,感度100%(5/5例),特異度100%(7/7例),正診率100%(12/12例)であった.胆嚢腺筋腫症では粘膜表面および壁内を流れる血流シグナル所見と内部の造影剤が点状に散在する所見が全例に認められた.
【結論】
胆嚢隆起性病変に対して良悪性の鑑別診断に有用な所見として泡のように水が沸騰する所見は感度にすぐれ,血流が病変内を不規則に回転している所見は特異度にすぐれていた.MFIは感度,特異度ともにすぐれていたが,検出率が低率であった.胆嚢腺筋腫症(限局型)は粘膜表面および壁内を流れる血流シグナル所見と内部の造影剤が点状に散在する所見が特徴的所見であると考えられた.ソナゾイドを用いた造影超音波検査は胆嚢疾患診断に有用であり,USに引き続て実施可能で低侵襲な検査法であると考えられた.