Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

ワークショップ
ワークショップ1
消化器疾患におけるInterventional Sonography

(S254)

胆道閉塞に対するInterventional EUS

Interventional EUS for biliary obstruction

菅野 良秀, 洞口 淳, 藤田 直孝

Yoshihide KANNO, Jun HORAGUCHI, Naotaka FUJITA

仙台市医療センター仙台オープン病院消化器内科

Department of Gastroenterology, Sendai City Medical Center

キーワード :

【背景】
近年,胆膵領域におけるInterventional EUSの普及が加速しているが,中でも経消化管的にEUSガイド下に胆道ドレナージを行うEndosonography-guided biliary drainage (ESBD) は,経皮経肝的胆道ドレナージ (PTBD) に代わる新たな治療手技として注目されてきている.
【目的】
ESBDの短期,及び長期治療成績を検証すること.
【対象および方法】
対象は当センターで経験した経乳頭的胆道ドレナージ (EBD) 困難な胆道閉塞症例27例で,原疾患は膵癌12例,胆道癌8例,消化器癌のリンパ節転移5例,および総胆管結石に伴う急性胆管炎,Covered metal stent留置後の急性胆嚢炎が各々1例であった (男女比10:17,平均年齢73歳).方法は電子コンベックス型超音波内視鏡 (GF-UC240P,Olympus Co.など) を用い経消化管的に胆管を描出し,主に19Gの穿刺針を用いて肝内胆管または肝外胆管を穿刺した.胆管穿刺後は胆汁を5-10cc吸引し,胆道内を減圧した後造影剤を注入し胆管を造影する.その後ガイドワイヤー (GW) を胆管深部に送り込み,穿刺部をGWに被せて挿入した細径バルーンもしくはテーパードカテーテルで拡張した.拡張後は一期的に7Fr.のPlastic stentを留置した.ステントが閉塞した例や長期生存が期待できる症例では,必要に応じ大口径のステントへ交換した.ステント交換は同軸での交換を基本とし,ステントに対しカニュレーション後GWを胆管内に送り込み,snare-over-the-wire法でステントを回収し,新しいステントをGWに被せて留置した.ESBDの手技成功率と治療効果,早期偶発症,長期予後について検討を行った.
【結果】
ESBDを行った27例中14例で経十二指腸的に,10例で経胃的に,3例で経食道的 (腹部食道) にアプローチした.経食道的にアプローチした3例と経胃的にアプローチした8例,計11例は肝内胆管に穿刺を行い,十二指腸からアプローチした14例と胃からアプローチした1例,計15例では肝外胆管に穿刺を行い,全例でステント留置に成功した.経胃的にアプローチした残りの1例は胆嚢に穿刺した.施行時全身状態不良であった2例では,手技の成功にもかかわらず術後短期間に死亡の転機をとった.他の25例中24例で良好な減黄,臨床症状の改善が得られた.早期偶発症はGW逸脱に伴う限局性腹膜炎,ステント迷入が各1例ずつみられたが,いずれも内科的加療で改善した.ESBD後の平均観察期間は176日で,その間ステント交換は14例,計16回試みられ,全例で安全に交換が可能であった.後期合併症としては,逆行性の胆管炎を2例に,ステントの自然脱落を1例に認めた.非切除悪性胆道閉塞例における生存期間中央値は151日で,ステントの平均開存期間は152日であった.
【結語】
ESBDは一期的に内瘻化が可能で治療効果も高く,EBD同様ステントの交換も可能である.今後処置具の開発と手技の標準化により,確立された胆道ドレナージ手技としてさらなる普及が予想される.