Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

パネルディスカッション
パネルディスカッション12
実地に役立つ心エコー

(S242)

血性心膜液ドレナージ時におけるコントラスト心エコー法の有用性

Effectiveness of Contrast Echocardiography at Drawing Bloody Pericardial Effusion

宮本 貴庸

Takamichi MIYAMOTO

武蔵野赤十字病院循環器科

Department of Cardiology, Musashino Red Cross Hospital

キーワード :

【背景】
心嚢穿刺処置は,血行動態の安定化や心膜液の情報を得ることができ,必要な手技である.しかしながら,手技による合併症は,不幸な転記となることも予測されるために適応や手技実施には十分な配慮が求められる.特に心臓の損傷は,避けなければならない合併症である.穿刺カテーテルからの血性液の排出は,合併症としての穿刺カテーテルの心内腔への迷入や癌や感染症に伴う炎症や大動脈解離などによる物理的な血管からの血液の滲出などの原疾患の影響で生じる.穿刺カテーテルからの血性液の排出の原因が,穿刺カテーテルの心腔内への迷入のためなのか,原疾患に伴う血性心膜液を排出しているためなのかを判断するための,簡便で有効な方法がなかった.
【目的】
穿刺カテーテルからの血性液排出時における,コントラスト造影併用の心臓超音波図の有用性を検証する.
【対象】
心嚢ドレナージ時に,穿刺カテーテルから血性液が排出された患者.
【方法】
コントラスト造影は,microcavitation contrast法を応用した.三方活栓の接続部の1つは栓でふさぎ,残る2つの接続部に血性排出液0.5mlを入れた10mlシリンジと生理食塩水8mlと空気0.5mlを入れた10mlシリンジをそれぞれ結合し,2つのシリンジをピストン様に交互に押して内溶液を攪拌する.気泡の注入を避けつつ,作成した撹拌液を穿刺カテから注入した.撹拌液の注入前後で心臓超音波図を記録した.心嚢内に高輝度の反射が新たに出現すれば,穿刺カテーテル先端は心嚢内に存在すると判定し,心腔内に高輝度の反射が出現したら穿刺カテーテル先端は心内腔に存在すると判定した.(図;左図は注入後の状態,右図は注入前.矢印は高輝度の反射の出現を示した.)
【結果】
撹拌液の注入により,心嚢内に高輝度の反射が新たに出現し,穿刺カテーテル先は心嚢内と判定した.心臓超音波図での確認は容易であった.
【結論】
心嚢穿刺処置時,穿刺カテーテルから血性液排出された場合,穿刺カテーテル先端位置を確認するために,コントラスト造影併用の心臓超音波図は有用である.