増田 喜一¹, 宮武 邦夫²

Yoshikazu MASUDA¹, Kunio MIYATAKE²

¹国立病院機構大阪南医療センター臨床検査部, ²吉田小野原東診療所

¹Department of Clinical laboratory, National Hospital Organization Osaka Minami Medical Center, ²Yoshida-onoharahigashi Clinic

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【はじめに】
あらゆる領域で利用される超音波検査は，1970年代当初は医師のみで行われていたが，超音波診断装置およびその表示法が改良され，また画像判読が比較的容易となったことも手伝い，臨床における検査需要が飛躍的に増大した．検査件数の増加により医師だけではとてもまかないきれなくなり，1985年に日本超音波医学会が超音波検査の認定検査士制度を発足させるに至った．その結果，日本超音波医学会認定超音波検査士（Registered Medical Sonographer：RMS）の需要は高まり受験者は年々増加しつつある．近年の医療の高度化・専門化の進む中で，超音波検査士（RMS）の役割は高まり，なかでもは検査を担う上でRMS（ソノグラファー）は日常診療に欠かせない地位を確保しつつある．しかしながら一方では，RMSの担うべき役割等が明らかでないところもあり，それらを明確にしていくことがよりよい医療を提供する上で重要なことと思われる．そのような観点から，日本心エコー図学会が2006年に循環器領域における専門技師制度を制定し，より質の高い検査を目指した心エコー認定専門技師（Japanese Registered Diagnostic Cardiovascular Sonographer：JRDCS）いわゆるスーパーソノグラファーを誕生させた．
ここでは循環器領域における，ソノグラファーおよびスーパーソノグラファーの果たすべき役割，および両者間の位置づけについて考えてみたい．
【RMSおよびJRDCSの役割】
超音波検査の施行が法的に許されている医療従事者は，医師を除き臨床検査技師，看護師，準看護師，診療放射線技師である．よって現在我が国における超音波検査は，学会認定を持たない医療従事者，本会が認定したRMSおよび日本心エコー図学会認定JRDCSの三者により検査が施行されているのが実情である．とはいえ，年々RMSの数は増加していることから（2008年までの合格者7,725名），国内における超音波検査の多くはおそらくRMSにより施行されているものと推察される．一方，日本心エコー図学会認定技師制度は発足してから日が浅く，現在までに16名の認定者を数えるのみである（2009年まで）．RMSおよびJRDCSの役割は，1）精度の高い検査施行，2）データ管理およびマネージメント，3）超音波関連機器の保守・管理，4）新しい検査技術・新手法の研究と開発，5）ソノグラファーの育成・教育，である．RMSは経験年齢に幅があることから，1）〜3）までを必須とし，卓越した検査能力を持つJRDCSは1）〜3）のみならず4），5）の実践が望まれる．
【RMS，JRDCSの位置づけ】
医療の高度化・専門化が進む一方では，質の高い超音波検査が求められている．認定超音波検査士制度によりある一定の役割は果たされたと思われるが，実際の日常診療ではさらに高度な検査技術，的確な診断が求められている．また本会による現在のRMSに対する教育システムは充分とは言えず，特にRMS取得後の教育システムを確立されることが望まれる．定期的にRMSに対する教育を行うには，日常臨床に多忙な医師にはRMSに対する教育には限界があり，それを補うために現状のRMSより，他学会ではあるがより高度な認定資格を持つJRDCSに学会間の垣根を越えてRCMの教育を担わせるのも一案である．願わくは，腹部，乳腺・甲状腺，その他領域においても循環器領域と同種のシステム整備が望まれる．超音波検査の発展は，何事においても常にチャレンジする目標があってこそ実現するものと考える．