山田 博胤^{1, 2}

Hirotsugu YAMADA^{1, 2}

¹徳島大学病院循環器内科, ²徳島大学病院超音波センター

¹Cardiovascular Medicine, Tokushima University Hospital, ²Ultrasound Examination Center, Tokushima University Hospital

キーワード :

【ソノグラファーと医師の関係】
ソノグラファーに心・血管エコー検査を依頼するのが医師で，その検査結果を診療に活用するのが医師である以上，ソノグラファーと医師の間には密接なコミュニケーションが必要である．両者には“エコーによって患者さんから得られる情報を患者さんの診療に活かす”という共通の目的がある．医師とソノグラファーは，お互いが切磋琢磨しながら高いレベルの診療を目指すのが理想的である．
【プロフェッショナルとは】
十把一絡げに“ソノグラファー”といっても，医師から依頼された検査を施行する職務のみを毎日こなしている技師から，他の仕事をしながら週に1日だけエコーをしているという技師，検査を行いながら研究や教育にも携わっている技師，超音波検査室を取り仕切っている管理職をメインの仕事としている技師．．．と様々である．そして，その一人一人が異なる目標を持っているだろう．我々医師は，ソノグラファーがやる気になる環境を作る役割を担っている．しかしながら，画一的にことを運ぶのではなく，各々のソノグラファーが目指す職業像を明確にし，そのソノグラファーに応じたサポート法を考える必要がある．
【知識を身につけるには】
エコー検査の最終診断は医師の役割であり，ソノグラファーと医師が共にエコーを撮るか，ソノグラファーの撮ったエコー図あるいはレポートを医師が確認する必要がある．しかし，エコー検査をソノグラファーだけで施行している施設では，自分のエコー報告書に自信が持てず不安に思うソノグラファーが少なくない．ソノグラファーが施行したエコーを，どんな形であれ医師が確認し，その見解をソノグラファーに伝えることが大切である．さらに，検査結果によって治療方針がどうなったのか，生検，手術の結果がどうであったのか，治療の経過や結果，患者の予後がどうであったかなど，患者さんに関するあらゆる情報は，医師からソノグラファーにフィードバックするのが望ましい．ソノグラファーから医師へ検査結果の一方通行でなく，医師からもソノグラファーに情報を伝達することを日常的に行っていれば，ソノグラファーの臨床的知識は自然に増大する．
【テクニックを身につけるには】
心エコー検査に携わる医師は，自らのためだけでなく，共に働くソノグラファーのレベルアップのためにも，日々研鑽することが必要である．上級ソノグラファーが初級ソノグラファーを育てることができれば，指導医がいなくても問題が少ないと思われるが，初級ソノグラファーの指導ができる上級ソノグラファーがあまりいない，という施設も多い．このような状況を打破するため，日本心エコー図学会では，心エコー専門技師という新しい認定制度を発足させた．ソノグラファーの基本的教育はソノグラファーが行い，医師が介助するのが理想的と思われる．
【チームワークが大切】
今日の患者診療は，様々な職種のスタッフによる集学的治療が基本となっている．ソノグラファーもこの医療メンバーの一員として職務を全うする必要がある．患者の治療という目的のため，このチームをまとめ，各々の役割分担を決め，全体の仕事がスムーズに進むよう先導するのは，医師が担うべき役割である．
【最後に】
我々心エコー検査に携わる医師にとって，ソノグラファーは便利屋ではなく，よきパートナーでなければならない．常に彼ら，彼女らの意見に耳を傾けながら，そして，我々が求めることを理解してもらいながら，ともにレベルアップできるよう切磋琢磨することが，医療の質の向上をもたらすであろう．