Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

パネルディスカッション
パネルディスカッション9
超音波内視鏡の新展開

(S230)

超音波内視鏡ガイド下膵管ドレナージの成績

Results of EUS-guided pancreaticogastrostomy

潟沼 朗生, 真口 宏介, 金子 真紀, 階子 俊平, 金 俊文, 栗田 亮, 矢根 圭, 小山内 学, 高橋 邦幸

Akio KATANUMA, Hiroyuki MAGUCHI, Maki KANEKO, Shunpei HASHIGO, Toshihumi KIN, Akira KURITA, Kei YANE, Manabu OSANAI, Kuniyuki TAKAHASHI

手稲渓仁会病院消化器病センター

Center for Gastroenterology, Teine-keijinkai hospital

キーワード :

【目的】
Interventional EUSは検体採取による組織学的診断のみならず,種々のドレナージや局注療法など治療分野にも発展してきている.今回は,超音波内視鏡ガイド下膵管ドレナージ術(EUS-guided pancreaticogastrostomy)の成績について報告する.
【対象と方法】
2009年12月までに当センターで施行したInterventional EUS 464例(診断359,治療105)のうち,EUS-guided pancreaticogastrostomyを試みた4例を対象とした.内訳は,膵頭十二指腸切除術後(IPMN 2,乳頭部腫瘍 1)の胃膵管吻合部狭窄が3例,慢性膵炎による頭部主膵管狭窄でERCPによる主乳頭からのアプローチ困難1例である.方法は,Convex EUSにて体部主膵管を描出し,Zimmon needle knife papillotome(Cook)またはEchoTip 19G(Cook)にて胃内より主膵管を穿刺し,ガイドワイヤ(GW)を主膵管内へ誘導し,Soehendra biliary dilation catheter(Cook)にて穿刺部の拡張を行い,Plastic stentを留置した.検討項目は1)手技成功率と手技時間,2)留置ステント,3)ステント留置後ドレナージ効果,4)手技に伴う偶発症,5)術後の経過観察成績,とした.
【結果】
1)4例中3例で手技は成功した(75%).不成功の1例は胃膵吻合部狭窄例であり,主膵管径が4mmと拡張が軽度であり,穿刺が出来なかった.成功例の主膵管径は 6, 10, 12 mmであり,手技時間は15,53,90分であった.2)胃膵吻合部狭窄2例に対しては7FrのPlastic stentを留置した.慢性膵炎例は穿刺部の拡張が難しく,初回は5FrのPlastic stentを留置し,1週間後に7Frに変更した.2)手技成功の3例では,背部痛などの自覚症状は消失し,腹部CTで主膵管拡張の改善を認めた.3)手技に伴う偶発症は認めなかった.4)胃膵吻合部狭窄の1例は,1カ月後にステントの自然脱落を認めたため瘻孔部をバルーンにて拡張し,10FrのPlastic stentを再度留置した.その後,自然脱落を繰り返したためtube freeとして経過観察しているが,1年間再燃は認めていない.1例はStent留置後113日に自然脱落を確認しtube freeとしているが,1年経過するが再燃は認めていない.慢性膵炎による膵管狭窄例に対しては,1ヶ月後にRendezvous法にてERCPによる狭窄部へのStent留置を試みた.即ち,EUS-guided pancreaticogastrostomyにより留置したStentの瘻孔部よりGWを主膵管内へ挿入し狭窄部を通過させ,副乳頭経由で十二指腸内へと誘導し得たため,GWを留置したままスコープを抜去し,再度スコープを十二指腸へ進め,GWを把持し,スコープのチャンネル内へ引き込み,GWを通して副乳頭からのステント留置を行い得た.
【結論】
EUS-guided pancreaticogastrostomyは胃膵吻合部狭窄や経乳頭的なアプローチ困難例に対する有効な治療法であり,今後の発展が期待される.しかしながら,手技は必ずしも容易ではなく,長期成績を含めた検討がさらに必要である.