Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

パネルディスカッション
パネルディスカッション9
超音波内視鏡の新展開

(S228)

Sonazoidを用いた造影EUS検査による膵腫瘍性病変の診断

Utility of contrast-enhanced endoscopic ultrasonography for diagnosis of pancreatic neoplasma

小牧 孝充, 北野 雅之, 今井 元, 鎌田 研, 工藤 正俊

Takamitsu KOMAKI, Masayuki KITANO, Hagime IMAI, Ken KAMATA, Masatosi KUDO

近畿大学医学部附属病院消化器内科

Division of Gastroenterology and Hepatology, Department of Internal Medicine, Kinki University School of Medicine

キーワード :

【緒論】
低音圧で二次性高調波を発生する超音波造影剤Sonazoidおよび広帯域EUSを用いることにより,EUSにおいて造影による実質染影が得られるようになった.
【目的】
膵腫瘍性病変診断における造影ハーモニックEUS(CH-EUS)の有用性を検討.
【方法】
2007年3月から2009年6月までに膵疾患が疑われた426例(女性229例,平均年齢 65.2歳)を対象にCH-EUSを行った.EUSシステムはOLYMPUS-ALOKA社製を使用した.通常のEUS(FB-EUS)による観察後,造影ハーモニックモードに変更し,Sonazoid投与によりリアルタイムで観察した.FB-EUSにて充実性および嚢胞性として認められた病変を,それぞれCH-EUSによる造影パターンにより分類した.外科切除あるいはEUS-FNAにより病理診断が可能であった198症例(充実性病変171例,嚢胞性病変27例)において,CH-EUSによる造影パターンと病理診断を対比し,CH-EUSによる診断能をFB-EUS,MDCTと比較した.
【成績】
FB-EUSにて充実性であった病変は,CH-EUSによりI (Avascular)型(5例),II(Hypovascular)型(121例),III(Isovascular)型(30例)およびIV(Hypervascular)型(15例)に分類された.II型の93%が膵癌であり,IV型の73%が内分泌腫瘍であった.一方,I型を呈する全例が膵炎に伴う壊死組織であり,III型の70%が自己免疫性膵炎を含む腫瘤形成性膵炎であった.嚢胞性病変27例の中で,FB-EUSにて内部に構造物が確認されたものは17例であった.そのうち13例が造影で染影されることにより壁在結節であることが確認され,その他の4例は造影されないことより粘液塊等の非腫瘍部であることが判明した.CH-EUSによる膵腫瘍描出率(97%)は,MDCT(89%)と比較すると有意に高値であり,特にIPMNにおける壁在結節描出率の差が顕著であった(CH-EUS 87%,MDCT 40%).
【結論】
CH-EUS検査は,血行動態評価により病変の内部構造を明瞭に描出することが可能であり,EUSのみで描出される膵小病変の存在および鑑別診断に有用と考えられる.