Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

パネルディスカッション
パネルディスカッション7
超音波診断装置における人間工学的デザイン

(S220)

身体にやさしい超音波診断装置 〜JABTS検査技術研究班報告より〜

User-friendly Ultrasonic Equipment

尾羽根 範員

Norikazu OBANE

財団法人住友病院診療技術部超音波技術科

Department of Ultrasonic Examination, Sumitomo Hospital

キーワード :

超音波診断装置の画質や機能面では長足の進歩を遂げているが,一方でその操作性についてはいかがであろうか.日本乳腺甲状腺超音波診断会議(JABTS)検査技術研究班では,超音波検査に長年従事すると,頸,肩,腰など検者の身体に悪影響を及ぼすことが注目されつつあることを踏まえ,装置の操作性に着目し以下の検討を行ってきた.2001年・第7回JABTS「表在用超音波診断装置の調査報告」,2007年・第18回JABTS「乳癌検診で用いられる超音波診断装置」,2008年・第20回JABTS「人に優しい装置とは?」,そして,2009年の第22回JABTSでは,「身体にやさしい超音波診断装置」として,班員が実際に使用している装置を中心に,装置本体,モニター,コントロールパネル,探触子(体表臓器用),ケーブルハンガーについて調査し報告した.その概要は,
1)装置本体のサイズ
ハイエンドの装置になるほど大きくなる傾向があり,幅55cm,奥行100cm以上のものが多かった.幅には配慮が感じられるものの奥行は改善の余地のあるものが多かった.
2)モニターの高さ・大きさ・可動性
ブラウン管モニターは17インチ以下,液晶モニターは17インチ以上のものが装備されている傾向がある.可動性は液晶モニターの方が大きいが,高さはいずれのモニターでも一般的なOA機器より20cm以上高いものが多かった.
3)コントロールパネルの高さ・操作性
高さは多くの装置が一般的な作業デスクより10cm以上高かった.可動性は近年の液晶モニターを装備した装置で自由度が大きい傾向があった.ボタンについては,フォーカスと表示深さ調節について,ボタンの操作とそれによる動作を調査した.フォーカス調節はレバースイッチでは全て同じ動作だったが,ロータリースイッチでは一部で動作が逆になるものがあった.表示深さ調節でもロータリースイッチで動作が逆になるものがあった.
4)探触子の形状・大きさ
この調査の主旨が乳房超音波検査に限定していたため,必然的に体表臓器用探触子が対象である.形状は少数ながら手がかりとなるようなくびれのないものがみられた.視野幅は35〜40mmが多かった.音響カプラは取り付け不能(最初から製品として用意されていない)のものが多かった.
5)探触子ケーブルの太さ・硬さ
ケーブルは改善がみられているが依然として硬く太いものもあり,軽くなってきている探触子とのバランスの悪いものがあった.
6)ケーブルハンガーの有無
液晶モニターの普及の影響か,従来のようなハンガーは姿を消しつつあり,簡易なフック程度のものが多くなっていた.
今回のパネルでは以上の調査内容を概説する予定である.高さが低くかつ検者の感覚に一致した操作性を有する,負担が少なく身体にやさしい装置の実現を希望する.