Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

パネルディスカッション
パネルディスカッション6
乳腺,甲状腺領域における良悪鑑別困難症例の画像的アプローチ

(S217)

US発見乳腺病変におけるMRIの有用性

The role of MRI to evaluate US detected breast lesions

中原 浩1, 町田 英一郎2, 安田 由紀子2, 前田 資雄2, 古澤 秀実2, 駒木 幹正2

Hiroshi NAKAHARA1, Eiichiro MACHIDA2, Yukiko YASUDA2, Yorio MAEDA2, Hidemi FURUSAWA2, Kansei KOMAKI2

1ブレストピアなんば病院放射線科, 2ブレストピアなんば病院乳腺科

1Department of Radiology, Breastopia Namba Hospital, 2Department of breast surgery, Breastopia Namba Hospital

キーワード :

【目的】
当院では乳腺外来,乳癌検診の両者でマンモグラフィ,超音波(US)を施行する事が多く,石灰化症例を除くほとんどの症例がUSガイド下針生検(一部細胞診)で確定診断に至る.この際,カテゴリー4以上の症例や所見の難しい症例に関しては,針生検(一部細胞診)前にMRIを行っている.鑑別困難症例におけるMRIの有用性について検討した.
【対象】
2009年1月〜2009年12月に超音波で発見されMRI検査が施行された乳腺疾患1365例を対象とした.
【結果】
MRIが有用と思われた点を以下に示す.
1.病理所見と超音波所見の整合性評価
 多くの症例では超音波の推定組織形と病理組織像が一致するが,一部に整合性が認められない場合がある.この際問題になるのは,確実に針生検で病変を採取できたかどうかという点である.一般にfibrosis等は超音波で悪性病変が疑われる場合が多いが,MRIでは異常増強効果を示さない場合が多く,鑑別に有用である.
2.多発病変内の異常所見
 乳腺症や多発線維腺腫を伴う乳腺内に悪性の可能性のある病変が存在する際,その病変が他の病変と異なるのか同様なのかの鑑別に有用である.
3.偶発癌の検出
 目的とする病変以外に想定外の病変が検出される場合がある.多くはSecond look USで検出され,効率良く生検が施行される場合が多い.
4.広がり診断(特に生検結果が乳頭状病変の場合)
 国内では一般にMRIを使用する際の用途となるが,良性乳頭状病変(乳頭腫)が生検で採取された場合の鑑別診断(補助)に有用な場合がある.これは乳頭腫が非浸潤癌を主体とした乳癌と混在している場合,乳頭腫が確認された部位と同一腺葉内にMRIで別の異常所見がある場合に注意を要する.
【結論】
石灰化病変以外の乳腺疾患では超音波とMRIの所見を組み合わせる事によって,良悪性の鑑別困難症例により的確なアプローチが可能と思われる.