小山 理恵, 岩動 ちず子, 村井 正俊, 金杉 知宣, 吉崎 陽, 杉山 徹

Rie OYAMA, Chizuko ISURUGI, Masatosi MURAI, Tomonori KNASUGI, Akira YOSHIZAKI, Toru SUGIYAMA

岩手医科大学産婦人科

Obstetric and Gunecology, Iwate Medical University

キーワード :

【目的】
三次元超音波（3D超音波） Sonogarphic Automatic Volume Calculation（Sono AVC）は3Dスキャンで得られるデーターの特徴は厚み方向の情報を含んだ ボリュームレンダリングにより任意の断面を描出し，且つ，多断面画像を構築した3D画像表示法である．Sono AVCは，卵胞に相当する低輝度領域を検出し，その径や体積を自動的に算出し複雑な形状の卵胞でも高い再現性を有する．Sono AVCの特徴と 更に，同超音波装置に搭載されている3D-power Doppler表示から得る卵巣内血管と血流Volume histogramにて検索することで体外受精におけるFSH製剤刺激後の卵胞発育，年齢と受精卵数との関連性について検討することを目的とする．
【方法】
1.当院の不妊外来患者のうち体外受精を適応とした28例．対象者に対し研究主旨を説明，書面にて同意を得た（IRB: H20-114）．2.月経周期1〜16日目に3D超音波断層装置 VOLUSON E8 （GE Health care）を用い経膣プローブにて3D画像を構築する．Sono AVC法にて卵胞数と卵胞体積を自動計測する．次に3D-power Doppler法にて卵胞を含む卵巣血流を表示し超音波内のVolume HistogramにてVascular Index（VI），Flow Index（FI），VI×FI（FVI）を計測する．3.解析は主成分分析を使用した（SSPS17.0）．
【成績】
年齢36.74±5.88歳（25〜44歳），採卵数5.69±2.8個，受精卵数3.23±2.82個．
【主成分分析】
＊受精卵の獲得には第二成分の年齢（component loading:0.924）の高齢化が影響し，第一成分の両側卵巣血流因子であるVI （component loading:右卵巣 0.981，左卵巣0.772） が受精卵数の増加に作用している可能性を示した．
【結語】
1.VIは卵胞発育と卵の質を高め，受精卵の獲得に重要な成分であることが証明された．2.Sono AVC法は従来の超音波と比べ卵胞の観察に有用である．3.3D-power Doppler volume histogramの主成分分析から受精卵獲得に影響を与える因子を判定し，且つ，受精卵の獲得を予測し得る方法と考える．