Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

パネルディスカッション
パネルディスカッション5
各領域における3 D,4 D の現況

(S209)

超音波integrated backscatter 三次元画像による冠動脈プラークの組織性状診断

Three Dimensional Color-coded Mapping Method of Integrated Backscatter Intravascular Ultrasound for Tissue Characterization of Coronary Plaques

川崎 雅規

Masanori KAWASAKI

岐阜大学医学部附属病院循環病態学

Cardiology, Gifu University Graduate School of Medicine

キーワード :

【目的】
近年,薬物溶出性ステントの普及により経皮的冠動脈形成術の最大の問題点であった再狭窄が克服されつつあるが,虚血性心疾患の生命予後の改善には至っていない.その理由は,生命予後を左右する急性冠症候群は経皮的冠動脈形成術の対象となる高度狭窄病変からではなく,軽度〜中等度の狭窄であっても大きな脂質プールを蓄積し線維性被膜の薄い不安定プラークから発症ためである.従って,急性冠症候群を発症する不安定プラークを画像診断することができれば虚血性心疾患の生命予後の改善につながるため血管内超音波(IVUS)による冠動脈プラークの組織性状診断法の開発に期待が高まることとなった.
【方法】
これまで冠動脈不安定プラークの検出ためのさまざまな手法が報告されているが,その中の1つであるintegrated backscatter (IB)法は,超音波が目的とする構造物に反射する後方散乱波のエネルギーを求める方法である.我々は二次元IB-IVUS color-coded map法を三次元に発展させ,プラークの組織性状の分布やプラーク全体における脂質や線維成分の体積割合の算出も可能となった.この方法により,HMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン)による脂質低下療法で冠動脈プラークの脂質成分が平均25%低下し,線維成分が平均15%増加したことが明らかになった.また,中等度狭窄の冠動脈プラークを解析した結果,拡張型リモデリングの部位には有意に脂質成分が多く,長軸方向の解析では,脂質コアは中枢側にややずれていることが明らかになった.
【結論】
超音波integrated backscatter 三次元 color-coded map法は,冠動脈プラークの組織性状の分布と体積割合を分析するのに有用であり,薬物療法の効果判定や,急性冠症候群の発症部位の予測に有用と考えられた.