Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

パネルディスカッション
パネルディスカッション4
専門医ソノグラファー養成のための教育システムを考える

(S206)

専門医・ソノグラファーの育成を考える-乳房領域-

Training of Sonographers - breast ultrasound

角田 博子1, 遠藤 登喜子2, 東野 英利子3

Hiroko TSUNODA1, Tokiko ENDO2, Eriko TOHNO3

1聖路加国際病院放射線科, 2名古屋医療センター放射線科, 3筑波大学臨床医学系放射線科

1Department of Radiology, St Luke’s International Hospital, 2Department of Radiology, Nagoya Medical Center, 3Institute of Clinical Medicine Department of Radiology, University of Tsukuba

キーワード :

乳房領域に関しては,近年のソノグラファーの役割は必須のものとなっており,その背景をもとに,教育と普及がますます重要なものとなっていくと考えられる.日本の乳癌検診については,現在対策型検診としてはマンモグラフィが中心であるが,閉経前の高濃度乳房ではマンモグラフィで検出できない腫瘤があることはよく知られており,ここに超音波の活躍の場があるものと考えられている.現在,J—STARTというマンモグラフィに超音波検査を加えることが検診に有効かどうかを検証するRCT研究が進められている.この結果によっては,検査施行者は医師のみではとうてい充足できるものではなく,超音波検診部門へのソノグラファーの参加はさらに最重要課題となるであろう.現在,超音波検査者を対象として,日本乳腺甲状腺超音波診断会議の教育委員会によって超音波講習会が施行されている.現在の超音波はリアルタイム式で施行され,検診における病変の検出は,検査施行者の技術にかかっているといってよい.画像を残すとはいえ,その場で拾い上げられなかったものをあとから要精査とすることはほとんど不可能といっても過言ではない.したがって,検査施行者の責務はきわめて大きいものとなり,それをよく認識したうえで検査に当たる必要がある.そしてそれを踏まえたソノグラファーへの教育が必要となる.また,近年,精査機関を含めた診療部門においても,超音波をソノグラファーが担当することが多くなっている.この場合,マンモグラフィの読影をある程度できるようにならなければ,超音波検査を担当することが十分といえない状況が生じている.超音波に関する知識はもちろん,乳癌そのものに対する知識あるいは,マンモグラフィやMRIを加えた総合的知識が必要となっている.マンモグラフィに関しては,ソノグラファーを対象としたマンモグラフィ読影講習会がマンモグラフィ検診精度管理中央委員会により昨年より開催され,好評を得た.このように,乳房領域の超音波を担当するソノグラファーへの教育は,他分野に先駆けてすでに全国展開が始まっているのではないかと考えるが,講習会などで各自が学んだことがらを共通のものとし,各施設で自らが行った検査について,その結果をきちんと振り返る環境が必要であろう.今後,基礎的知識から治療に関してもある程度の知識を得られる機会を我々専門医が提供し,医師と技師との協力体制が必須と考えている.