Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

パネルディスカッション
パネルディスカッション4
専門医ソノグラファー養成のための教育システムを考える

(S203)

当院における超音波専門医・ソノグラファー育成の現状と問題点

Educational problems of board certified fellow and sonographer in our hospital

竹内 和男

Kazuo TAKEUCHI

虎の門病院消化器内科

Division of Gastroenterology, Toranomon Hospital

キーワード :

1)当院における腹部超音波検査の現況:検査数は病院検査(臨床スクリーニング+精検)が年間約25,000件,ここ数年,検査数は横ばいの状態.・病院検査は診断装置9台で医師と検査士が協力して半日100件前後施行している.超音波専門医が統括し,研修医,後期研修医・若手消化器内科医を指導するとともに,検査士からのチェック依頼に対応している.若手医師の教育指導があり,装置1台あたり平均11〜12件の検査数であり,1台あたりの検査数は多くはない.・併設の人間ドックエコーは1日70件前後.3〜4人のベテラン検査士が日替わりで担当(装置4台).
2)超音波専門医:当院で育成した専門医の数は,これまで15人であり,そのうち5名が指導医の委嘱を受けている.退職した専門医は,移った先で超音波検査の中心として活躍し,中にはactiveな学会活動を行っている者もいる.当院で現在,専門医を目指し積極的に研修中の者は肝胆膵を専門とする消化器内科医である(試験準備中4名).一方,消化管グループの若手医師も,卒後6-7年までは,週1回超音波検査を義務付けている.
3)検査士の育成:主に先輩の認定超音波検査士がマンツーマンであたり,専門医の判断と承認により一人立ちする(研修期間は1年間1500件程度).スクリーニング検査を任されるようになった技師は学会認定超音波検査士の資格を取得することを義務付けている.現在検査に携わる技師は13名,うち学会認定検査士は8名である.当院の検査士の質は高いと自負しているが,対人検査であることから,さらに接遇の面での教育も充実させたいと考えている.
4)当院での問題点:専門各科からなる当院では,腹部超音波検査に従事する医師は,一握りの消化器内科医(肝胆膵グループ)のみである.検査そのものは年間25000件を超え,かつ予約待ちがあり,ドック件数も徐々に増えてきていることから潜在的な検査の需要は高く,常に検査士の育成が必要となっている(寿退職もある).若手医師の教育については,新臨床研修制度のスタートにあわせ,研修医にも検査のチャンスを与えたが,検査をある程度身に付けたのは,残念ながらモチベーションの高い一部の研修医に限られていた.一方,当直時間帯のみならず緊急でCTやMRIが可能な現在,超音波検査がそのようなニーズに答えられていない面があり,対策を講じる必要があると考えている.