Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

シンポジウム
シンポジウム12
膵疾患の超音波診断

(S185)

膵疾患におけるソナゾイド造影USの検討

Diagnosis of pancreatic tumor Using sonazoid-enhanced ultrasonography

岩野 博俊, 良沢 昭銘, 坂井田 功

Hirotoshi IWANO, Shomei RYOZAWA, Isao SAKAIDA

山口大学大学院 医学系研究科消化器病態内科学

Department of Gastroenterology and Hepatology, Yamaguchi University Graduate School of Medicine

キーワード :

【目的】
我々は,膵腫瘍においてソナゾイド造影USで肝転移の有無,原病巣の血流状態を確認している.また,必要に応じて造影EUSで膵疾患の鑑別を試みている.今回,膵疾患におけるソナゾイド造影の有用性を体外USとEUSに分けて検討した.
【対象と方法】
2007年6月から2009年11月までに当科で,膵腫瘍(疑いを含む)に施行した造影US 22例(頭部16例,体部6例),2009年10月から11月に施行した造影EUS 9例(頭部8例,体尾部1例)を対象とした.原病巣の検出についてEUS(US),CT,MRIと比較,肝転移の検出についてCT,MRと比較,疾患別におけるソナゾイド造影効果の違いについて検討した.
【結果】
1.造影US 22例中,手術,FNA,経過観察により行った最終診断は,膵癌14例,IPMN 3例,膵癌+IPMN 1例,神経内分泌腫瘍1例,自己免疫性膵炎 1例,慢性膵炎2例であった.1-1.原病巣の描出の検討:造影USで13例(腫瘍11例)に原病巣の描出を行った.EUSは11例に施行し,10例で描出可能であった.CTは13例,MRは7例に施行し,全例描出された.1-2.肝転移描出の検討:22例中肝転移陽性は3例であり,造影US,造影CT,造影MRのいずれでも指摘可能であったが,1例はCTに比べ,1例はMRに比べてより多くの肝転移を描出しえた.2.造影EUS 9例中,最終診断は膵癌4例,IPMN 4例,腺房細胞癌1例であった.2-1.原病巣の描出の検討:体外USは5例に行い,3例で描出可能であった.CTは9例に行い,7例で描出可能であった.MRは7例に行い,全例描出された.3.疾患別における原病巣のソナゾイド造影効果の違い:造影USまたは造影EUSを膵癌10例,IPMN 7例,膵癌+IPMN 1例,神経内分泌腫瘍1例,腺房細胞癌1例,慢性膵炎2例に行った.膵癌は全例周囲膵実質より血流の乏しい腫瘤として描出された.IPMNは嚢胞とdebrisの造影効果はなく,結節状隆起に血流を認めることで隆起成分の有無が容易に同定可能であった.神経内分泌腫瘍は豊富な血流を認めた.腺房細胞癌の1例は造影前には脾静脈血栓と診断していた病変が造影で腫瘍の静脈内進展であることが判明した.慢性膵炎の2例は造影で周囲膵実質と同等の造影効果を認めた.
【結論】
造影USを施行した症例の肝転移,原病巣のいずれもCTまたはMRで確認可能であったが,微小肝転移の描出において造影USが優れている点がある.現病巣の描出はUSよりもEUSが優れ,さらに周囲との血流を比較することでより微細な病変を確実かつ客観的に描出することが可能である.