Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

シンポジウム
シンポジウム10
ソナゾイドを用いた造影超音波の最前線 〜体表臓器などへの臨床的有用性の検証〜

(S176)

甲状腺・副甲状腺疾患における超音波造影剤ソナゾイドの使用経験について

Experience of contrast enhanced ultrasonography by using ultrasonographic agent, Sonazoid, in the patients with thyroid and parathyroid disease

鈴木 眞一1, 中野 恵一1, 菊地 大輝1, 津田 守弘1, 門馬 智之1, 福島 俊彦1, 竹之下 誠一2

Shinichi SUZUKI1, Keiichi NAKANO1, Daiki KIKUCHI1, Morihiro TSUDA1, Tomoyuki MONMA1, Toshihiko FUKUSHIMA1, Seiichi TAKENOSHITA2

1福島県立医科大乳腺・内分泌・甲状腺外科, 2福島県立医科大学低侵襲・先端治療科

1Department of Breast Endocrine Thyroid Surgery, Fukushima Medical University, 2Department of Minimally invasive and State-of arts Surgery

キーワード :

 甲状腺・副甲状腺疾患に対して超音波造影剤であるレボビストを使用した検討を行ってきた.今回,新たにソナゾイドによる造影超音波検査を施行する機会を得たので報告する.
 対象は,甲状腺乳頭癌5例,濾胞腺腫2例,腺腫様甲状腺腫1例,甲状腺機能性結節3例,副甲状腺腺腫1例の計12例である.
 使用した超音波装置は,Hi Vision Preirus(日立メディコ),Aplio XG(東芝メディカルシステムズ),Logiq E9(GE Healthcare)を使用した.本検査については本学の倫理員会の承認を得ている(承認番号792).
【結果】
 濾胞腺腫では,境界部血流が多く,逆に乳頭癌では,境界部血流に比して腫瘤内へ流入する血流が多かった.
 機能性結節においては,腫瘍内の細かい血流分布を観察可能であり,血流の多い部分に甲状腺シンチグラム(99mTcO4-)の集積が強く認められ,その腫瘍内の機能評価に有用と思われた.
 また,転移リンパ節に対する評価では,造影初期において,リアルタイムに造影剤の初期流入を観察できることから,栄養血管の位置の推定も可能であった.
 転移リンパ節においては,隣接・圧排していると思われる筋肉内の血管と,腫瘍内血管との交通が確認でき,その浸潤の有無の推定が可能であった.
いずれの症例においても,腫瘍内,リンパ節内で,通常のドプラ検査では観察しえないような微細な血流が観察可能であった.
 以上の所見について動画とともに提示したい.
 また,当検査施行前後で,バイタルも含め,有害事象は認めず,安全性にも問題がないものと思われた.
 血流を評価する上では,安全かつ有用な検査と思われるが,検査時間もやや長こと,静脈確保の必要もあることから,有用な症例を選別し,さらに検討を加えていきたい.