Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

シンポジウム
シンポジウム9
マイクロバブルの基礎と臨床をめぐって

(S171)

超音波造影イメージングの臨床応用技術

Application technologies for ultrasound contrast imaging

神山 直久

Naohisa KAMIYAMA

東芝メディカルシステムズ 超音波開発部

Ultrasound Systems Division, Toshiba Medical Systems Corporation

キーワード :

【1】
超音波造影法による微細血流のイメージングは,日欧中などの国々で既に普及している.この技術により超音波は,占拠性疾患の存在診断から,良悪性鑑別といった性状診断へと進化を遂げている.例えば,CTやMRI等で鑑別不能であった肝腫瘍のproblem solvingとして造影超音波が最終診断を担うケースも増えている.この時,超音波画像の微細性は診断情報として特に重要となり,時間的に最大値投影を行い微細血管を再構成する画像処理法(Micro Flow Imaging等)は,その特長を有効に引き出すものとして重要視されている[1].
【2】
欧州では,肝臓や腎臓の移植後のフォローアップとして,慢性拒絶反応の早期発見のためにも用いられている[2].この場合,長期間での血流量低下の差異,あるいは短期間での微小な低下の推定を行う必要があり,Time curve analysis (TCA)などの定量計測が利用される他,血流速度や到達時間を選択的に映像化するparametric imaging[3]などの技術がこの分野でも検討されている.
【3】
抗腫瘍薬の薬効評価に対しても超音波造影法が利用されている.フランスでは国家プロジェクトとしてマルチセンタースタディが開始されており,早期判断に有用な感度を持つ手法であることが明らかになりつつある[4].この場合も血流低下の判定にはTCAによる定量計測が用いられ,肝腫瘍の動態を良好にフィッティングする近似手法も提案されている[5].
【4】
近年,びまん性肝疾患,特に線維化ステージとの相関を超音波造影によって定量化する研究も行われている[6].腎臓を起点にした肝臓実質内へのバブル到達時間のparametric imageによって,線維化量を比較的簡便に推定できることが期待されている.
【文献】
1.S Wilson, HJ Jang et al. Real-Time Temporal Maximum-Intensity-Projection Imaging of Hepatic Lesions.... AJR, 190, 691-695 (2008)
2.JM Correas, M Claudon et al. The Kidney: Imaging with Microbubble Contrast Agents. Ultrasound Quarterly: 22-1, 53-66 (2006)
3.K Sugimoto, F Moriyasu et al. Parametric imaging of contrast ultrasound.... Hepatology Research, 37, 464-472 (2007)
4.N Lassau, J Lacroix et al. French Multicentric Prospective Evaluation of Dynamic Contrast-enhanced Ultrasound.... RSNA, SSE13-02 (2009)
5.N Lassau, L Chami et al. Dynamic contrast-enhanced ultrasonography with quantification of tumor perfusion. Eur Radiol. 17-6, F89-98 (2007)
6.Y Sumino, N Wakui et al. Ultrasound imaging and scanning techniques for diagnosing liver diseases. Jpn J Med Ultrasonics, 36(3), 301-318 (2009)