Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

シンポジウム
シンポジウム7
消化管疾患における超音波診断

(S162)

造影EUS検査による進行胃癌の化学療法効果判定

Evaluation of the response to chemotherapy in advanced gastric cancer by contrast-enhanced harmonic EUS

岡田 無文, 松井 繁長, 工藤 正俊

Mumon OKADA, Shigenaga MATSUI, Masatoshi KUDO

近畿大学附属病院 消化器内科

Department of Gastroenterology and Hepatology, Kinki University School of Medicine

キーワード :

【目的】
近年,進行胃癌に対する化学療法の目覚ましい進歩により,積極的に化学療法が行われるようになり,予後の改善も認められるようになってきている.その治療効果判定は世界的にはRECISTガイドラインに則って行われているのが現況であるが,本邦では,原発巣評価の重要性が広く認識されており,原発巣評価法として現在まで通常内視鏡検査,上部消化管造影検査,CT検査などが用いられてきた.今回我々はSonazoidを用いた造影EUS検査を施行し,胃癌原発巣の化学療法効果判定を行い,その有用性について検討した.
【対象】
2007年9月から2009年3月までに進行胃癌35例に対して造影EUS検査を施行し,そのうち化学療法を施行し,2回以上造影EUS検査にて経過をおえた19例52回について検討した.使用したEUSはオリンパス社製GF-UE260を使用し,超音波診断装置はアロカ社製Prosoundα10を使用した.まず通常内視鏡にて観察を行った後,造影EUS検査を施行した.
【方法】
造影EUS検査にて,腫瘍の浸潤範囲,及び腫瘍内部のvascularityを明瞭かつリアルタイムに描出することが可能であった.内視鏡検査でPRと判定された14例中,11例でecho intensity rate(EIR)が低下,1例で横ばい,2例で増加していた(平均低下率7.8%,P=0.002).PDと判定された8例中,7例でEIRが増加,1例で低下していた(平均増加率6.6%,P=0.008).内視鏡検査で判定困難なケースが5例あったが,造影EUS検査では5例とも判定可能であり,特に内視鏡検査で判定困難なスキルスタイプの胃癌でも造影EUS検査では効果判定が可能であった.
【結論】
胃癌原発巣の化学療法の効果判定として,Sonazoidを用いた造影EUS検査は,腫瘍の形態的変化だけでなく,腫瘍内部のvascularityの変化にも着目した効果判定法で,原発巣の効果判定の一助となる検査である.また胃癌を含む固形癌において,腫瘍の血管新生と予後との間に有意な相関関係があり,この点においても,造影EUS検査で,原発巣のvascularityを正確に評価することは重要な意義があるものと考える.