Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

シンポジウム
シンポジウム6
肝腫瘍の造影エコーの最先端(術中超音波含む)

(S159)

小児肝悪性腫瘍に対する造影超音波検査の検討

Examination of an imaging contrast enhanced ultrasonography to maliganat liver tumor in pediatrics

須貝 道博, 太田 栄, 遠藤 正章, 棟方 博文

Michihiro SUGAI, Sakae OHTA, Masaaki ENDOH, Hirohumi MUNAKATA

弘前大学医学部附属病院 小児外科

Pediatric Surgery, Hirosaki University School of Medicine

キーワード :

【はじめに】
第2世代の超音波造影剤ソナゾイドを用いた造影超音波検査が開始され,約3年が経過しているが,この間小児領域に用いられた報告例は全くといってみられていない.ソナゾイドの特徴はクッパー細胞に取り込まれるとともに血管内にも長時間循環することである.現在の報告例では限られた機種のみで可能となっており,したがって小児領域では汎用型超音波検査での造影報告例はレボビストに限られている.今回われわれはsonazoidoを用いた造影超音波検査を肝悪性腫瘍(肝転移例を含む)に用い,描出能について検討した.【対象・方法】
対象は2009年1月より2009年12月までの1年間に当科で経験した肝悪性腫瘍5例をとした.内訳は男児3例,女児2例で,肝芽腫(術前例1例,術後2例)3例,肝転移(腎細胞癌,成人型肝癌残肝再発)2例であり,年齢は転移例は学童2例で肝芽腫3例はいずれも1〜3歳と年少例であった.ソナゾイドは0.1〜0.5ml/bodyで用手的に静注した.使用装置は東芝Aplio で探触子は小児用コンベックスPVT674BTを用いた.
【結果】
肝芽腫に対してはearly arterial phaseでの腫瘍濃染像とpost vasucular phaseでの欠損像を認め,成人型肝細胞癌と同様に診断に有用であった.肝芽腫術後2例では残肝部分での再発は認められなくlate vasucular phaseでは欠損像が描出されず肝転移有無の診断に有用であった.転移性肝癌では2例ともリング状〜円形の造影効果を認め,late vasucular phaseから明確な欠損像が描出され,大きさ,個数を観察するのに有用であった.また2例中1例は術中超音波検査も施行した.術前CTと比較してより多くの転移巣の描出に優れ,鮮明で,肝切除ならびにラジオ波による焼却術を行う際にも多くの情報を与えることができた.しかし数mm以下の微小病変の描出には限界があった.
【考察】
造影超音波検査は転移性肝転移内の血流検出が可能であった.また明確な欠損像が描出され,転移性病変の診断に有用であった.各種画像診断の中で術中造影超音波検査の描出率は高く,CT検査を上まるものであっが微小病変の描出には限界があると考えられた.