Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

シンポジウム
シンポジウム5
心筋ストレイン・ストレインレートイメージングの現状と将来

(S149)

心筋ストレイン計測方法は何がよいか?

What is the Best for Advanced Myocardial Strain Imaging?

金井 浩

Hiroshi KANAI

東北大学 大学院工学研究科電子工学専攻

Graduate School of Engineering, Tohoku University

キーワード :

【はじめに】
我々は心臓壁の心筋速度の空間分布を胸壁から計測し,心電図Q波から心I音継続時間に,心基部・心尖部間を速度成分が複数伝搬する様子を可視化した[1].本報告では,さらに瞬時厚み変化(ストレインレート)を高時間/空間分解能で計測した結果を重ねて示し,厚み変化と心筋速度に対応があることを示す.
【原理】
心臓壁の速度波形の超音波計測[2]によって,電気的興奮または心臓弁の閉鎖で生じたパルス状振動波形を検出する.超音波ビームを粗く走査し,心臓壁内に設定した数千個の点で約400Hzの高いフレームレートで振動波形を同時計測する[3].これらの波形の20〜40Hz成分の瞬時位相を空間的に内挿し,位相の空間分布を時系列的に並べて中隔壁に沿った波の伝搬を可視化する[4].さらに速度分布の空間勾配から,瞬時厚み変化を高い時間・空間分解能で計測する.
【実験結果】
健常な被験者の心室中隔に心尖アプローチを適用した結果,図の上からMモード,速度分布,厚み変化分布を同じスケールで示す.Q波で速度分布の変化開始点から,収縮が開始しているが,S波からI音の継続時間には収縮が一時的停止し,その後,再び収縮して駆出期を形成している.駆出期においても,深さ方向に均一ではなく,通常のMモードの低輝度部分に対応し収縮の大なる部分がある.
【あとがき】
我々は別途,摘出ラット乳頭筋で,電気的刺激直後15msに,心筋収縮に伴うパルス状振動を観察し[4],ヒトin vivo計測においても速度分布から電気的興奮の伝わりの計測を裏付ける結果が得られている[1].この報告では,さらに,瞬時厚み変化の計測も行なって,Q波時点に中隔壁中央で瞬時厚みの増加が生じ,それが心基部と心尖部へ伝わる様子を可視化した.
【参考文献】
[1]Kanai H. Ultrasound Med Biol, 2009;35:382.
[2]Kanai H, Hasegawa H, Chubachi N, Koiwa Y, Tanaka M. IEEE Trans. UFFC, 1997;44:752.
[3]Kanai H. IEEE Trans. UFFC, 2005;51:1931.
[4]Kanai H, Katsumata S, Honda H, Koiwa Y. Acoustical Science and Technology. 2003;24:17.