Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

シンポジウム
シンポジウム4
泌尿器癌の超音波診断ガイドラインを考える 第2部:前立腺

(S144)

画像診断ガイドラインの紹介と前立腺MRIの最近の情報について

Update on MR imaging of prostate

楫 靖

Yasushi KAJI

獨協医科大学 医学部 放射線医学講座

Department of Radiology, Dokkyo Medical University

キーワード :

 2004年より2006年にかけて,日本医学放射線学会および日本放射線科専門医会・医会合同ガイドライン委員会のメンバーとして,「エビデンスに基づく画像診断ガイドライン-2007」の前立腺癌の診断に関する部分を担当した(http://www.jcr.or.jp/guideline/2007/pdf/418.pdf).エビデンスに基づいた内容とするために,適切な検索用語で文献検索を行い,選択基準に基づいて採用する文献を絞り込んだ.しかし,論文ごとに,研究対象群が異なる,撮影装置のスペックが異なる,撮影条件が異なる,画像診断の基準が論文に記載されていない,読影者の経験年数がさまざま,などの問題があった.複数の研究データをまとめて一定の方向性を示すことは難しいことがわかった.限界がある中で作成した前立腺癌MRI診断に関するガイドライン内容を,経験とともに述べる.
 超音波検査装置と同様に,MRIも進化し続けている.静磁場強度を高めた3テスラ装置や多チャンネル受信用コイルといったハードウエアが進歩し,同時に撮影法も改良されてきた.特に拡散強調像は,造影剤なしで前立腺癌を効率よく発見する手法として広く使われるようになった.一方,ダイナミック造影MRIも時間分解能を向上させた3次元撮像が可能となり,拡散強調像と相補的に用いられている.しかし,MRI用ガドリニウム造影剤に関しては腎性全身性線維症(nephrogenic systemic fibrosis; NSF)という新しい疾患との関連が疑われているため,腎機能が低下している場合は,ガドリニウム造影剤を使用してはならない.このような前立腺MRI診断に関する最近の情報をまとめて紹介する.
 最後に,再現性のある標準的画像検査法を確立するためには何が必要か,MRIを例として私見を述べたい.